ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『アルゴ』
『アルゴ』@新宿ピカデリー スクリーン3
ベン・アフレック監督の前作『ザ・タウン』は昨年映画館で観るのを逃して後悔した第一位でした。そもそもはジェレミー・レナー目当てでDVDを観たのですが、よく練られた構成と演出の手際のよさに瞠目。慌ててBlu-rayの通常版+エクステンデッド版を購入、監督コメンタリを聴き、彼の映画製作への献身っぷりにすっかり惚れ込んでしまいました。その後web上で見付けたスクリプト複数稿と原作(『強盗こそ、われらが宿命』)を読み、刈り込みと脚色(アフレック、ピーター・クレイグ、アーロン・ストッカードの共同脚本)の巧さに再び唸らされました。
思えばこのひと『グッド・ウィル・ハンティング』の脚本でオスカーとっていましたね。その後のボンクラっぷり(ひどい)が強く印象に残っていたので忘れがちだった…ごめんよー。ダグの最後の台詞(ここ参照→・The Town Quotes: Solid and Gripping)をベンアフ本人が言っているってとこも感慨深いものがあったよ!
勿論ジェレミーも素晴らしかった!このひとこういう危うい役やらせるとむちゃくちゃ光りますね。最後の台詞と行動が裏腹で、その行動が破滅以外にないと判ってるとことかさ……!(涙)ブサイクイケメンDQN顔(…)が輝いてました。ジェレミー出演作品まだ網羅出来てないけど、今のところ『ザ・タウン』のジェムは『Neo Ned』のネッドと1〜2位を争うくらい好きな役です(…って、どっちの役も相当アレですけどね……)。
はあはあはあ、『ザ・タウン』の感想迄書き始めてしまいそうだ…前置きが長い(いつもじゃ)。と言う訳で観る前からすんごく盛り上がって+期待値がすんごく高くなっていたため、楽しみにしていた分つまんなかったらどうしよう、がっかりさせられちゃったらどうしようなんて身勝手もいいとこな思いをパンパンに膨らませて映画館に出掛けて行きました。が……どうだコノヤロー!どうだバカヤロー!(誰に言ってる)むたむた面白かったがなーーー!!!以下ネタバレあります、アルゴファッキュアセルフ!(合い言葉)
70年代のワーナーのロゴ、最近ではあまり目にすることのない映像のノイズ(フィルムに付着したゴミが写り込むエフェクトを加えていると思われる)に導かれ、あっと言う間に観客は1979年の世界へ。絵コンテから始まるオープニングにもにっこり。さあ、映画が始まるよ。いろんなところからやってきた、知らない同士が同じ場所でハラハラドキドキ。スクリーンに注がれるいくつもの瞳。観客の心をひとつにする映画が始まる。
今回アフレックはタッチしていませんが、脚本(クリス・テリオ)がすごくしっかりしてる。実際に起こった出来事を映画化するために施したであろう脚色も絶妙で、その部分が例え創作であったとしても観客を鼻白ませることがない。「いくらなんでもここはないわー」と言いつつ笑顔にさせられてしまうような愛嬌があります。アメリカとイラン両国の問題も簡潔に紹介しつつ、ニュートラルに徹していたところもいい。
そして説明台詞に頼らず、状況や登場人物の心境を描き出す細やかなカットがとても効果的。コミカルとシリアスを行き来する演出も緩急自在。すごい深刻な話し合いなのに自転車脱出作戦にずっと固執してるひととかさ…(笑)でもトニーの案も自転車と同じくらい何言ってんのって作戦だった訳で。終盤大慌てで作戦中止を撤回する上司も、トニーたちをなんとしても助けねばと言う気持ちは勿論あっただろうけど、この作戦が失敗して公になったらCIAの面目丸潰れ!そんなのイヤーッ!って言う必死さもちょっとあったと思うのね…(笑)。すっごい切羽詰まってるときにクスリとしたりポカーンとしたりする台詞なりシーンなりを絶妙のタイミングで投げ込む。このテンポのよさはもはや職人技。
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11月01日(木)
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