ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『フワリカ!! PART23〜AVAN-POP CHRONICLE〜』
エガワヒロシPRESENTS『フワリカ!! PART23 〜AVAN-POP CHRONICLE〜』@Koenji HIGH
エガワヒロシさん主催のシリーズライヴ、今回のテーマは“AVAN-POP CHRONICLE”。出演者は333(bababa)、after the rain、小林建樹、エガワヒロシ。333とエガワさんはバンドセット、after the rainは秋山勝彦さんのギター弾き語り、小林くんはエレピの弾き語り。
小林くんは一月に行われたPART21“SINGER SONG-WRITER NOW!!”以来の出演です。成程確かにSSWでアヴァンポップ。エガワさんと小林くんの信頼関係のようなものが垣間見えたイヴェントでした。
「久し振りに会ったんだけど、今の彼はやさしい感じ」とエガワさんが仰ってましたが、その言葉通り終始柔らかい音とふんわりとした歌声のステージでした。しかし一音鳴らした途端、一声発した途端に場の空気をあっと言う間に変えてしまうのは毎度のこと。音がまるくて優しくても、本人リラックスして演奏しているようでも、なんと言うのか、独特の緊張感があるライヴなのです。これがたまらない。
メロディはポップでひとなつこい、しかし各所にフックが利いている。そして声の使い方といい、唄い回しといい、それにぴったりと寄り添うピアノの演奏といい、実に複雑で、所謂手癖で弾いている感じがしない。常に感覚と腕を磨き続けるアスリートのような姿を見せるが、ステージにいる本人は終始笑顔で、実にリラックスした空気を漂わせている。聴く側は、その音楽の美しさ、柔らかさに魅了されつつも、その背後の激しさと厳しさに、畏怖さえ感じる。
今回はレア曲ばかりで、未発表曲も多かったので特にそれを感じた。「禁煙禁園」って曲、面白かったな。「B.B.B」ではバッキングのコードを微妙に変えて弾いていた。途中「間違ってた、こっちだったね!」と通常の音に戻して笑っていたが、実のところ前者の音にもメロディは微分音単位でマッチしていた。音の濁りが灰汁として、より味わい深くなっていたと言おうか。意識的なものかは判らないが、その音の調えっぷりには正直身震いした。
天才と鍛錬と。美しく楽しいメロディであればある程、気付けば真顔になり、喰い入るようにその演奏を見詰め、聴き入ってしまう。この感覚、個人的には彼と矢野顕子さんにしか感じたことがない。
ご本人、こういうことはどうでもいいんだろうなあ、と言うか気にも留めていないだろう。天才だから。このひとには何のてらいもなく天才て言葉を使えるわ……って、これ毎回言ってるような気がする。しかしホントにそうなんだからしょうがない。ライヴの機会が本当に少ないのですが、何せ天才だからやりたいときにふっとやれればいいのだろう。焦燥感は作品の中にだけある、怒りや恐怖は曲の中にだけある。そういう意味ではここ数年の間観ることが出来た数少ないライヴは、彼が自分の部屋で好きな曲を好きなように演奏しているのを聴かせてもらっているような生々しさがある。次はいつ聴けるか判らない。MCで「SNSを活用出来ない」と仰っていた通り、積極的に告知とかをするひとではないので(フジの井手綾香ちゃんのサポートも事後報告だったから見逃したよ……)、少ない機会を逃さないようにしたい。自分にとっては大事な大事な音を奏でるひとです。
とは言うものの、MCはホントにユルくて不思議ちゃんなので、この日も一緒に観たささんと「このひとに音楽があって本当によかったよね〜」なんて話しました。次回も気長に待とう……。
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セットリスト
01. B.B.B
02. Bless
03. 果実
04. 赤目のジャック
05. ?(インプロ要素ありのインスト)バガデル
06. 夏の終り
07. 禁煙 禁園
追記:ご本人のDiaryにセットリストがアップされていたので訂正。きんえんってこの字だったのか!「果実」「バガデル」「禁園」は初披露だったとのこと
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09月14日(金)
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