ID:43818
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by kai
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■菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール『皆殺しの天使 / El Angel Exterminador』
菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール『皆殺しの天使 / El Angel Exterminador』@東京グローブ座
この日記エンピツでは映画ジャンルに登録しているので念のため、ブニュエルの話じゃないですー。でもこの映画に通じる趣はあったなあ、終演後、しばらく席を立てなかったもん。帰りたくともなんとなく帰り難い。余韻の残るライヴ。
いやー待った待った待ちました、昨年2月以来のPTA。何度も言ってるが直近のBLUE NOTEは震災後の仕事スケジュールがぐっちゃぐちゃになった時期だったので行けなかったんだよー。それでも昨年4月以来の公演ですよね…。菊地さん曰く「エリザベス・テイラー一周忌(2011年3月23日逝去)の時期にやりたかったんだけど、なかなか全員のスケジュールが合わなくて」。そういえば開演前、9月の公演のフライヤーの出演者見てたら1st vlが吉田くんじゃなくて、「ままままさか一年以上も空いてる間にやめちゃった? 今日は出るの出ないの…!?」とドキドキしていましたよ…出て来てホッとしましたが。久し振りに見た吉田くんはウェイヴのかかったロン毛になっていました(バチカンからマイケル・ジャクソンの認定を受けました@菊地さん)。9月のはたまたま出られないようです。それだけ役者が揃ってる、と言うことなのでしょう。スケジュール確保しやすい若手で編成する、と言っても、いずれそのひとたちもどんどん忙しくなっていくのですよ。せつなくて素敵なことですな。
さて本編ですが、登場した菊地さん、具合悪いですオーラが全身から出ている。どうした…いや、つらいーって表情は決して見せてませんが、なんだかのぼせてぼやーっとしてる感じです。何、熱でもあるのか……。呼吸がしづらいのか、sxも歌もああ苦しそうだな、と思うところが多々あったり、あとロングトーンが微妙に続けづらそう。全体の演奏も、グローブ座と言うホールの特性もあり音の返りがとにかく独特で、全員がお互いの音を聴き取りづらかったのではないでしょうか。リズムが重要なパートがかなり危うかったです。ただでさえリズムが複雑なナンバーが多いので、速いテンポのものはほんとギリギリ、ひやっとするところもありました。譜面をガン見する大儀見さん(perc)なんて初めて見たような気がする。
しかしいい演奏ってのとよくできましたーって演奏は違うのだと言うのを見せてくれるのがこのオルケスタ。どの曲だったかな、噛み合わせがグラッとなったときに堀米さんがリズムをキープして皆を引き戻した(ように聴こえた)のがめちゃ格好よかった!暗闇で遠くに見付けたちいさな灯りがとても明るく見えるように、harpの澄んだ鋭い音はガイドになっていたなあ。あと林さん(pf)も高音を大きめに出して、こっちだよーって示していたようにも感じました。そうなってくるともう楽しくなっちゃったのか、大儀見さんが後半もう満面の笑み(笑)。いろんな不具合に、もはやニヤニヤしてしまっている菊地さんの後ろで目をまんまるにして口角あげて叩いてる大儀見さん、絵になってたわー。
それにしても菊地さんて、調子悪いとき(こそ?)すごいいい演奏しますよね…そうそれはまるで手負いの獣のような色気とともに!ふはははは!そりゃコンディションがいい方がご本人も気持ちよく演奏出来るに決まっておりますが、具合が悪いときの対処法を知ってる方ですねー。そういうところが獣っぽい。“野性の思考”が自然に身に付いてらっしゃいます。
妙に上手の音が下手迄流れてくるような感じがしてなんなんだろう…と思っていたら、アンコールで菊地さんがエンジェルを振りまいたとき、飛沫がまさに上手→下手に散っていきました。空調の流れだったのか。いやこれ普段では気付かないわ…繊細な音の組み合わせのPTAだからこそ気付いたのだと思います。グローブ座でのPTAは三年振りでしたが(これは強烈だった)、次の布石が見えたり、何らかの分岐点になりそうな時期にここで演奏することが続いたような気もします。個人的にはきかん子程気になると言うか、決して観やすい聴きやすい環境ではないのに妙な親しみがあるホールなので(近年スズカツさんもよく使ってるしね)、またここでやってほしいな。
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07月23日(月)
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