ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『百年の秘密』、MCA
NYLON 100°C 38th SESSION『百年の秘密』@本多劇場

いやーすごくよかったです。ここ十年程よく話すのは、「ケラさんは人生のまとめに入っている」と言うことなのですが、この“まとめ”がそれこそ十年程続き、滋味に富んだ作品を数多く発表し続けているところに改めてすごみを感じます。願わくばそれがまだしばらくは続くことを。

そしてやはり劇団力も大きい。今回何日前にホンがあがったのかは判りませんが、ケラさんのツイート等見るに毎度のごとく余裕がなかったと思われます。それでこの完成度。単純なところを言えば、映像とのタイミング等、段取りもかなり多い。演技以外にも把握しておかねばならないところが膨大にある。それであの完成度…来年でナイロンは二十周年だそうですが(もうそんなか!と当日配布のパンフを見て驚きましたけども。健康結成から二十年とかならまだああ、とか思いそうですが)、流れた時間の長さと、その瞬間瞬間に積み重ねた力の大きさを思わずにはいられませんでした。

そう思ったのは、今回のストーリーがそういうテーマを持ったものだったからと言うのもあるでしょう。そうそうひとは変わらない、だからこそ出会ってしまったひととの関係は一生揺らぐことがない。百年は一瞬の出来事で、しかしその一瞬一瞬に、途方もなく沢山の思いが埋まっている。

そうそう、特筆すべきは舞台美術。あれっ、これこそ想像力じゃないの、と思いました。狙ってと言うか、大上段に掲げるのではなく(勿論しっかり考えられたものだと思いますが)さりげなく提出するところがすごい。セットは、転換を行わないひとつの装置です。物語の舞台となる、ある一族の屋敷とその庭にある楡の木。ストーリーはその庭と屋敷で展開される訳ですが、「屋敷の内部にある部屋」を位置的には庭であるスペースに設けてあるのです。役者たちがテーブルや椅子等の小道具を自ら移動させ、装置のドアを開けたり閉めたりして「屋敷の内部にある部屋」に移動する。これが全く違和感なく理解出来るようになっているのです。物理的な意味では次元が歪んでいることになる。しかし、このドアを入り、ここから出れば登場人物は庭から屋敷の中に移動したと了解出来る。

ある一定のルールを示すことで、シチュエーションを自在に出来るこれこそが、想像力を活用する面白さとして感じられました。これぞ演劇。

あとおぼえがき。ネタバレあります。

・イヌコさんとリエさん、本当に素晴らしかった。こどもから老婆迄、時間軸を入れ替えて進行する構成をいとも簡単に乗りこなしているかのようでした。このふたりにしか出来ない、としか思えない役をいつも見せてくれる。きっとずっと好きな女優さん

・大倉くんの役が『消失』と同じ最期だったなあと…(涙)
・ダメな男カタログとしても楽しめます(笑)

・水野小論さんと藤田秀世さんのイヤな人間っぷりがもはや名人芸の域。ちなみに水野さんはもと水野顕子さんで、『噂の男』や『イヌの日』でイヤな女女優として記憶に焼き付けられた役者さんです
・ケラさんも意識的にそういう演出を施しているのだと思いますが、これだけ巧ければ逆にすんごいいいひとの役も出来るのではないか、それも見てみたいなあと思えてきます

ところで来年の二十周年記念企画、第一弾の劇場がCBGKなんですけど、あの劇場でナイロンはかなりキツそうだと思いました…(苦笑)長尺作品には向かないハコですよね……。

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■Adam Yauch • 1964-2012(書いてるのは7日)

どんどん流れていってしまうのは寂しい。書き留めたり張ったりしておく。

アダムだけどMCAのが馴染み深い。アドロックもアダムだしね。

『百年の秘密』をじっくり噛み締めつつ下北沢をうろうろして、ごはん食べて帰宅して、webに入ってtwitterを眺めているとき、TLにspinnerからのツイートが流れてきた。“RIP Adam Yauch.”。第一報はこれだった。すぐリンク先に飛んだ。
・Adam Yauch Dead: Beastie Boys' MCA Dies at 47 After Cancer Battle - Spinner


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05月04日(金)
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