ID:43818
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by kai
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■『深呼吸する惑星』大千秋楽ライブビューイング
第三舞台『深呼吸する惑星』大千秋楽ライブビューイング@TOHOシネマズ六本木ヒルズ スクリーン5
エントランスでタイムテーブルの電光掲示板をぼんやり見ていたら、スクリーン6がライブビューイング会場となっている。自分が持っているチケットはスクリーン5。どうやら2スクリーン使うようだ。チケット購入人数に対応して収容ホールを増やしてくれたのだと思う。こういうの、シネコンのいいところ。どちらもスクリーンも完売していた。
入場すると、場内は穏やか乍らもぴんと張りつめたような空気。パンフレットでの対談でも書かれていたが、男性客が目につく。そうだ、第三舞台は男性客が多かった。既にスクリーンには福岡の観客席が映し出されている。音声は入っていない。入口で受け取ったごあいさつ(そう、配布してくれたのだ。劇場に足を運べず、今回のLVで初めてこの作品を観るひとたちへの配慮に感謝)を目を通しつつ話していると、突然スクリーンに鴻上さんが現れた。あちこちから小さな声があがる。鴻上さんは「もうすぐ始まります」「どの会場にいますか?ツイートしてください」「少し待ちます」とクロッキー帳に書いて示す。ひとりでやっているので両手では足りず、クロッキー帳を床に置いたり携帯を開いたりペンを拾ったりとあたふたしている。最終的には全国30箇所の会場全てからレスポンスがあったとのこと。最後の書き込みは「それでは、最後の第三舞台です。んじゃ。」だったかな。この「んじゃ。」も懐かしい言葉だ。
LVは流石の板垣さん仕事。ストーリー展開のポイントとなる背景や照明、そのシーンで台詞を発してはいないがキーになる人物の表情を、絶妙のタイミングで的確に抜いていく。具体的にひとつあげると、二満月の儀式の説明前にしっかりこの月を捉えたところ。既にこの作品を観ていたから気付くところであるが、数秒後には初見のひとたちにも、あれがふたつの満月であることが解るようになる。舞台を直接見ているならば説明後に自分で背景にフォーカス出来るが、舞台中継だとそうはいかない。だからカメラがどこを捉えるかが重要になる。ほんの少し先の予測を拾い、それ以上は強調しないこのさじ加減が素晴らしい。あと音がよかった。マイクで拾っているので若干ノイズが入ったり途切れたりする箇所はあったが、それはほんの少し。台詞は勿論、役者がステージに走り込んでくる際の足音が、臨場感あるものとしてこちらにも伝わってきたのが嬉しかった。
最後の作品がこれでよかった。『深呼吸する惑星』でよかった。鴻上さんが劇団員にこの役を書き、ここにはいない彼を投影させたようなあの役を客演の若い彼に書き、彼らはそれを全うした。解散公演の千秋楽だと言うのに、彼らがブレることは決してなかった。各所各所で、場所や、人物や、過去の時間に別れを告げるシーンがあり、それは舞台に立っている彼らにも、それを観ている私たちにも、確かに実人生を重ね合わせるものだった。しかし芝居の流れは決して滞らなかった。これが、彼らが「母艦」である劇団の歴史を通じて培ってきた、そして母艦を離れた先で身につけた、舞台に立ち続ける者としての強さなのだろう。それを最後に目にすることが出来てとても幸福だった。
そんな彼らが、カーテンコールの挨拶と、大入り袋を投げる段取りでわたわたしていたのも微笑ましかったな。同時に喋っちゃったり(笑)。出演者がひとりひとり順番に挨拶してる間、後ろに映っていた筧さんの口が終始動いていたんだけど(顔は正面向いてる)あれは独り言なのか隣の役者さんと喋っていたのかすごく気になった(笑)。
鴻上さんが劇団員に向けて、それぞれ印象に残っている役を挙げていく。役名がコールされる度、ああ、ああと頷く。『天使は瞳を閉じて』からの役が多い。ぴーとさんも書かれていたけど初日通信の小森さんが書かれていたことを思い出した。劇団員たちが、鴻上さんの書くものに追いついた作品。鴻上さんが彼らに宛てて書いた役であり、彼らが自分のものとして、自分以外には出来ないものとして創り上げた役。そして観た者には、それが20年以上の前のことであっても、鮮やかに思い出される愛しい人物たちだ。
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01月15日(日)
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