ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『ハート・ロッカー』
『ハート・ロッカー』@新宿武蔵野館 1
アカデミー賞受賞作品ですが、決して皆で楽しく観られる内容ではなさそうなのでそんなにロングランはしないかも、早めに行っとこうと週末のレイトと言う「仕事疲れがいちばんたまっていて、導入がヌルいと即寝てしまうコース」で観たのですが、眠くなる暇もありませんでした……。よかったとも面白かったとも感動したとも言い難い、しかし記憶にグッサリ刺さって忘れられない映画になりました。
キャスリン・ビグロー監督は『ストレンジ・デイズ』を撮ったひと、として記憶していました。個人的にはとても好きな映画。ラストシーンの2000年を迎えた街の光景がとにかく素晴らしく(話のツッコミどころはこれでチャラに出来る!)、ジュリエット・ルイスやスカンク・アナンシーがド迫力の歌を聴かせるライヴシーン(サントラも名盤!)、アンジェラ・バセットのちょう男ットコ前のアクションシーンと見どころも盛り沢山。そ・し・て!レイフ・ファインズがアクションものを!ワイルドなファッションに包まれたその中身はヘタレ!と言う新境地(笑)を見せてくれた作品でもありました。そう、これはアンジェラがナイトでレイフが姫のお話だったのです(妄想入ってきた)。いやーこんなレイフ、これ以前にもこれ以降にも観たことない。有難うビグロー監督!
で、今回キャストを前面に押し出した宣伝ってしてませんでしたよね。なので公開近くなってファインズさんが出てると知ってビックリ、しかもガイ・ピアースもデヴィッド・モースも出ている。えー!?となって俄然観に行く気になった訳です(そんな理由…)。以下ネタバレあります、未見の方はご注意を。
あのじさんが「キャスト押しにすると誰が死ぬかわかっちゃうからじゃない?」と言っていて、蓋を開けてみればその通りだった。冒頭10分程でガイ・ピアースが……あああ。予告編でもポスターでも使われている爆発のシーン、防護服を着て走っているのは彼だったんですね。と言う訳でええーと言う間にピアースがいなくなりました…いやーしかしほんのちょっとのシーンだったのに、彼が班の中でどんな役割を果たしていたか、部下たちにどんな態度で接していたかがよく伝わるものでした、流石。そしてファインズさんも…いやでもファインズさんはああなるとは思ってなくて、ガーンとなった!これは後で詳しく(笑)。モースはベラベラベラッとまくしたてるアホッぽい軍人のお偉いさんで、最初彼だと気付かなかった!お見事。
キャスト押しにしていなかった理由はもうひとつ、スターではない役者(ジェレミー・レナーごめん、でもこの作品で彼はスターになるのかも)が戦場中毒の人物を演じることで、この作品をフィクションとしては観られない――ひとごととは思えないものにする意味合いもあったようにも思いました。レナー演じるジェームズは戦場中毒であり、死ぬかもしれない中毒でもある。そして恐ろしいのは、注意深く観ていないと、それが狂気だとこちらに伝わらない程に自然なのです。彼のとっている行動が自然に見えてしまい、普通に納得してしまう。赴任してきた当初は部屋で爆音のミニストリーをかけているものの、新しい同僚への挨拶と、先任への悼みの言葉は誠実そのもの。仕事は確実にこなす、腕も確か。しかし何かがおかしい。爆発物のある地点へ躊躇もせず踏み込んで行く、危険な場所で防護服を脱ぐ、作業中に無線を断つ。
ところが、その一連の行動がだんだん「ん?おかしくないかも?自然なことかも?」と感じられてくるのです。防護服を着ていると作業しづらい。暑いし、動きづらい。ああ脱いじゃうよね。だいたいそんなん着てても着てなくても近くで爆発が起これば一緒だもんね。それなら脱いで確実に作業した方がいい。無線も爆発物を処理すると言うとても集中力を必要とする時に聴いてられるか、うるさいし、邪魔だ。しかし、そう思えてしまうためには、何かがすっぽり抜け落ちているのだ。それは何か?死ぬことに対する恐怖感だ。
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03月19日(金)
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