ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『FROST/NIXON』初日とか
『FROST/NIXON』@天王洲 銀河劇場
“これは、インタビューという名の決闘”
休憩なし、1時間50分。ロンドン初演も、映画も未見です。以下若干ネタバレあります、未見の方はご注意を。
いやーよかった。特に後半。序盤約10分はモノローグのみで展開され、その後も要所要所でジム・レストン=佐藤アツヒロくんの回想らしきモノローグが入ります。プログラムのスズカツさんのごあいさつで、役者には「説明的な台詞の言い方を排」することを要求したとありましたが、政治的な専門用語が多い、インタヴュー収録が始まる迄の経緯と歴史的背景を観客に把握させねばならない、そして本編のメインとクライマックスはインタヴューシーンのため、その他のパートはかなり凝縮する必要があり、時間的にもあまり尺をとれない。と言う制限があるため、やはりインタヴューに入る前迄の台詞が説明的になっている印象を受けました。なので、ここでノリ遅れるとちょっと厳しい。説明せねばならない内容を如何に説明口調にならず話せるか、と言う難題に、アツヒロくんは苦闘しているようにも見えました(演技がわるいと言う意味ではないです)。
それにしてもスズカツさんはビューティフルルーザーを描くのが巧いと言うか、好きと言うか、常に興味があるんでしょうね。こういうところはプロレス好きと言うバックボーンがあるからかも知れません。ニクソンのことちょっと好きになっちゃうぞ!頭脳戦なのに言葉の殴り合いにすら映るインタヴュー、格闘技やスポーツを観ている時のような感覚。左右に分かれたフロスト/ニクソンが座るソファの後ろには、常時ブレーンと補佐官が待機しており(=全登場人物出ずっぱり)、テープ交換のための休憩毎にふたりは陣営に戻る。アドバイスを受けたり、ハッパをかけられたり、戦法が間違っていないかの確認をする。その図式が、まるでセコンドとボクサーのよう。インタヴューは一対一なのに、まるでチームの連係プレイを観ているようでもある。両陣営ともに知力を尽くし、TVの特性を存分に利用しようとする。
フロスト/ニクソンは共にTVを利用してアメリカのトップにのしあがった人物だ。そしてふたりともアメリカのトップに返り咲くために対決している。ニクソンはウォーターゲート事件で失墜した名誉挽回のため、フロストは失ったアメリカでのTVショウレギュラーを再び手にし、アメリカで成功するため。ニクソンはインタヴューを受けなくても悠々自適だった筈だし、フロストは既に本国イギリスでは名声を得ており、アメリカであがく必要もなかった筈だ。
それでもアメリカでトップに立ちたい。アメリカが世界のトップだからだ。と言う、背後に浮かびあがるアメリカの巨大さをもひしひしと感じる作品です。アメリカはデカい。
決定的なひとことを引き出せずいらつくフロスト陣営だったが、最後のインタヴュー前夜、酔ったニクソンがフロストに電話をする辺りから様相が変わって来る。何故彼は電話をしたのだろう?ニクソンは真実を語りたかったのではないだろうか。実際彼は真実を喋るが、歴史に残ったのは事実だけだった。そして何故ジャーナリストではない、トークショウホストのフロストがこのインタヴューをモノに出来たのか?決定的な証拠を見付け出したのが、カジュアルな服装に身を包んだ、フロスト陣営ではいちばんの若造レストンだったと言うことも興味深い。
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11月18日(水)
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