ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『夜叉ヶ池』
『夜叉ヶ池』@PARCO劇場
えー…地震の中での上演でした。めちゃめちゃ怖かった…そういう状況も踏まえての感想です。ネタバレしつつ長いです。
この日のソワレ開演は18時。開演数分前にぐらっときて、余震も長く続きました。天井の照明が揺れてぶつかり合い、キィキィ言ってる。2度目に大きく揺れた時は悲鳴もあがり、席を立ってロビーへ出て行くひともいました。10分ほど遅れてスタート。
しばらくは滞りなく進んだのですが、やはりじわじわ揺れる。これはヤバいんじゃないの…と不安になった時、晃=武田真治くんが「すごい地震だな」とアドリブを飛ばしてドッとウケる。緊張がほぐれました。しかしその後も揺れが続き、百合=田畑智子ちゃんと学円=松田龍平くんふたりっきりのシーンでまたグラ〜。体感する前に、照明や装置がきしんで音をたて始めるので、恐怖感も増すんです。百合が学円に傘を押し付けて「帰ってください!」と言うところでゆさゆさっと来てうわっ、と思った時!絶妙のタイミングで晃が出て来てひとこと、「ちょっといったん止めようか」。ナイス!
智子ちゃんがかなり怖がっていて、百合が部屋へ逃げ込むシーンだったので丁度よかった。百合が晃のところへ駆け寄って、晃も百合のことを気遣う仕種。夫婦のラブっぷりが出て、逆にいい効果になったかも…なんてのは無事終わった今だから言えることですが。晃と学円が「地震だな」「ああ、地震だな」と言いつつ、しばらく様子を見ました。20〜30秒ほどして自然にお芝居を再開(どうやって再開したか憶えてないくらいさりげなく続きを始めた)、「なんでお前は白髪になってるんだ、地震によるストレスか?」等アドリブを交え、観客を和ませつつの進行がしばらく続きました。
これは仕方がないよ…いや、むしろ止めてくれてよかった。ショウマストゴーオンってのは無理矢理進めることではないよ、臨機応変してこその舞台だよ。生ものですからね!役者さんたちの判断は立派だったと思います。強引に芝居を進めても観客の動揺は増すばかりだし、9階にあるキャパ500前後の劇場でパニックになったら人災も有り得る。帰宅して確認したら都内は震度3くらいだったそうですが、体感震度はもっとあった。劇場内なので外部の情報を知ることが出来ないし、かなり不安感がありました。正直言って中断で気持ちをリセットする迄は芝居に集中出来なかった。普段そんなに地震って気にならない方なんだけど、あまりにも揺れが続いたし、やっぱり怖い!避難経路はどうなってるんだっけ、エレベーターは使えないだろうから階段だよなあ、てなことを考えちゃって…。結局終演迄4〜5回揺れました。そんな中、客席の反応を窺いつつ的確な判断、言動をとった武田くんと松田くんはお見事でした。
そんな中、気付いたところをちょこちょこ。
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■いちばん気になったのは脚本。口跡が汚な過ぎるなあと…。わかりやすい言葉遣いにしていたのは良かったと思うけど、白雪の「キモい!」とかはなあ(これアドリブじゃないよね?アドリブだったら演技プランのミスだと思うよ…)。ここ迄崩さなくてもいいのにと思った。思いびとに会いたくても会えない白雪の苛立ちを表すにしても、あまりにも乱暴過ぎる。他にも、言葉を崩したところでとる笑いがちょっと多いかなと…。話の本筋にも、そのまま笑える要素は沢山あるだろうに。長塚くんが書くおんなのひとの言葉は時々ひっかかるなあ。どうしてこういう風に書くのかなと言う興味もわくけどね…。
■この戯曲には見事な普遍性がある。終盤の晃、学円と、鉱蔵をはじめとする村人たちとのやりとりに顕著だ。鐘など鳴らさなくてもいい、バカなしきたりだと言いつつ、村の娘を生贄にしようとする。保守的過ぎる故に問題の解決を慣習に求める者、国を思うと言っておきながら自分のことしか考えていない者。人間の矛盾と愚かさが浮き彫りだ。ここがキモだろう。これがあれば、ヘンに今風に書き換えなくても、観ているひとにテーマは伝わったと思う。あービシビシ書いてますが長塚くんの書くオリジナルの話は好きなんですよ!(フォロー)
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10月23日(土)
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