ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『偶然の男』2回目、『真夏の夜のオリンピックの夢また夢』
『偶然の男』@スフィアメックス
はーい2回目ですよー。自分の頭を整理するためにも今回は概要を書いてみます。イコール以下ネタバレだらけです。未見の方はご注意を。
駅構内のアナウンス、雑踏のざわめきの中、中年の女性が乗車券を手に舞台に現れる。舞台にはベンチが4脚背中合わせに置かれている。内側2脚分が列車のコンパートメントと言う設定のようだ。席番を確かめつつコンパートメントに入ってくる女性。憂鬱そうな表情、でも身なりはきちんとしている。姿勢も美しい。席に落ち着いた頃、同室らしい初老の男性が入ってくる。男性は苦虫を噛み潰したような表情が地顔のようだ。疲労の色も見える。ジャケットの右ポケットには新聞が入っている。対面で座った時、女性の顔に困惑の色が現れ、暗転。
再び照明が点くと、ふたりが座っていたベンチには、男性と女性を型どった白いマネキンのような人形が置かれている。表面素材はプラスティックだと思われる。関節には球体が入っていて動くようになっている。表情はない。顔は型どられていない。
ふたりの役者が会話をするのは終盤の約10分弱。それ迄は、お互いのモノローグのみ。上演時間は90分。
モノローグで、ふたりの立場が判明してくる。女性=マルタは友人を亡くし、傷心の旅に出るところ。彼女は作家パルスキーの大ファン。いつでもパルスキーの書く作品に勇気付けられてきた。今日も彼の新作『偶然の男』のペーパーバックをバッグに入れている。そして、今目の前に座っている男性は、なんとパルスキーなのだ。マルタはファンであることを打ち明けようか迷う。バッグの中の『偶然の男』を取り出して読もうか迷う。パルスキーの作品に関しての思い出、死別した夫の思い出、デリカシーのない男友達への憤慨、そして亡くなったばかりの友人のことが彼女の心の中で語られる。
男性=パルスキーは次作で筆を折ろうと思っている。作家仲間や批評家の無理解に憤慨し、息子にはうんざりさせられ、娘が連れてきた恋人は背が高くボソボソ喋る50代の男。ああ、何もかんもが気に入らない。そのうち目の前にいる女性が気になりだす。何故彼女は列車の旅で本も読まずにいるのだろう?物思いに耽っているようだが?
ふたりは人形に話しかけるかのようにモノローグを扱う。自分の姿でもある人形に、目の前に座っている相手でもある人形に。シンプルに言えば、目に見える風景は人形=通常の情景、役者ふたり=登場人物の心情そのもの。自分と対話をし、相手に心で話しかける。本当は聞こえる筈がないお互いの心の声を、観客は聞くことが出来る。
終盤、とうとうふたりは人形をベンチから取り去り、実体と会話し始める。『偶然の男』を読み始めたマルタに、パルスキーは自分がその作品を書いた本人だとはまだ言い出せない。マルタは知ってるんだようパルスキーさん!(泣笑)そしてこの作家は駄文書きだなんて自分に唾棄するようなことを言ってしまう。しかしマルタは、彼の過去書かれた作品のいろんな描写を具体的に挙げ、決してそんなことはない、素晴らしい作家だと、穏やかに、しかし凛として反論する。そのうちマルタは「この作家は」と言うところを「あなたは」と言ってしまう。作家はハッとする。ふたりは苦笑し、そして穏やかに微笑む。女性は作家にサインを求める。作家は応じる。ふたりは、改めて会話を始める。その時にはもうふたりの声は聞こえない。音楽が流れ出し、ふたりは声を出さずに喋り出すからだ。観客は、ふたりの会話を聞くことは出来ない。それでも、きっとふたりの間には幸福な会話がなされているのだと、観客は何だかとてもあったかい気持ちになる。暗転。
うーわーええ話やー(泣)とまた泣く。おろろん
ああっ、概要だけで終わってしまったよ。でも概要書いてみて、自分はマルタ側にすんごい感情移入してるのが判りました…(赤面)またリピートするんでまだまだ考えますよ〜。今度はパルスキーの台詞にもっと集中して聞き入ってみよう。選曲の話(うわこれ絶妙!てのがあるんですわこれがまた)もまた〜。
あ、あとメモ。
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『審判』@スフィアメックス
2004年12月3日(金)〜5日(日)
原作:バリー・コリンズ
翻訳:青井陽治
演出:鈴木勝秀
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07月24日(土)
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