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by kai
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■『タイタス・アンドロニカス』+訃報
『タイタス・アンドロニカス』@彩の国さいたま芸術劇場 大ホール

文字通り血で血を洗う復讐劇。殺人、強姦、策略、人食。ショッキングな内容ゆえ滅多に上演されないこの演目が、どう料理されているか?以下ネタバレしてます。

「蜷川さんがセゾン劇場でやった『三人姉妹』や『ハムレット』と同じ幕開きだよ」との噂を聞き付け、開場早々に会場入り。おお〜ホントだ、役者さんがロビーをうろうろしています。衣裳や小道具もロビーに置いてある。いきなりバシエイナス役の横田栄司さんとはち合わせ、で、デカい!ただでさえハッキリした顔だちなうえ舞台メイクなので、ごっつう濃い顔になってました(笑)体格もいいし、ホント日本人離れしてる…。カイロンを探したけれど見付からず、残念。

ステージ上ではリハーサル(演出の一環だが)の真っ最中。この日は蜷川さんの姿は見付からず(欠席だったのかな?)井上さんがマイクで指示を伝えていました。そして「はいっ」と言う合図で開幕。あっと言う間に劇場は古代ローマ帝国に。

今回いちばん気になっていたのは、夥しく流れる血の描写をどうするのかと言うところ。これがうっつくしかった!全て布と糸で表現されます。タイタスが、両手と舌を切られて血まみれのラヴィニアとキスする時、血の糸を口移しするんだけどこっれがもう〜!美しい!あと〜あれだ、ええと〜ラヴィニアって処女だったので〜やっちゃうと出血甚だしいんですね。彼女を陵辱した後、ディミートリアスとカイロンがほぼ全裸で出てくるんですが、前ばりが例の赤い糸。これはウマい!と思いました。妙に感心してしまった…。真っ白な装置、衣裳との対比も素晴らしかったです。タイタスとマーカスのアンドロニカス兄弟はプラチナブロンドの髪の色で、これも映えた。ゴート族の3人(タモーラ、ディミートリアス、カイロン)は黒、緑、青の原色衣裳。エアロンは赤。この対比も美しい。

それにしてもこの話。ここ迄くるともはや喜劇です。結構笑えるんだよね…錯乱した(と見せ掛けてる=いや、ホントにおかしくなってたのかも知れないが)タイタスをそそのかそうと、タモーラ母子が復讐の女神とその手下に扮して現れるシーンとかもうおかしくて!だって名前が「殺人」に「強姦」ですよ!グループ魂の「破壊」「暴動」とタメ張りますよ。こことかタイタスと道化のやりとりのシーンはもう笑かしたるでー、って演出だったので遠慮なく笑わせて貰いました。タモーラに抱きついて離れないタイタスの頭をぺしっとはたく兄弟のばかっぷりもおかしかった…高下駄履き慣れてなくてヨロヨロ歩いてる姿にも笑った…捻挫に気を付けてなー。

しかしラヴィニア、実は結構嫌な女なんだよな。ひとを蔑む言動が甚だしい。も〜どっちもどっちだね!いろいろ部族とか立場の違いとかあるけども!おまいらもうちょっと他人の言葉に耳を傾けなさいよ〜いっときの感情で動くのやめなさいよ!マーカスおじさんもラヴィニア見付けた時に朗々と語ってないで(これがまた流石シェイクスピアってな美しい台詞なわけですよ)手当てしてやれよ!てなツッコミを入れっぱなしです。オモロいよ…。タイタスとマーカスのやりとりなんて漫才かって思えるようなボケボケツッコミ満載です。これに出てくる兄弟は皆愚かと言うかボケてるよ…タモーラんとこのバカ息子といいタイタス兄弟といいサターナイナスとバシエイナス兄弟といい。いやバシエイナスはちょっと気の毒だったが。そう考えるといちばん言動に筋が通っていたのってエアロンだよなあ…いちばん悪行三昧だったひとですけど。いや筋が通ってたからってやっていいことと悪いことがありますけども。

と考えながら観るとあら不思議、現代と全く変わらないじゃ〜あ〜りませんか。人間て進歩ないのね。だからこそ最後の、戯曲にはない幕切れはよかったな。子供ら、頼むよ!未来を明るく照らしておくれよ!(涙)


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01月25日(日)
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