ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『パンチドランク・ラブ』
『パンチドランク・ラブ』@恵比寿ガーデンシネマ2
ポール・トーマス・アンダーソン(以下PTA)監督の作品は、いっつも最初はジリジリイライラするんだけど、いっつも最後にはしみじみ笑顔になる、と言うか優しい気持ちになるなあ。今回もとにかく音がデカい、言葉が汚い、罵詈雑言の嵐とラウド!ラウド!ラウド!状態で、ビクビクしながら観ていたんだけど、最後は涙が出そうになった。
以下それなりにネタバレしてます。
主人公のバリーは食品キャンペーン広告説明の穴をつき、安価のプリンを買い込み飛行機のマイレージを貯めている。でも別に行きたいところがある訳じゃない。7人の口うるさい姉に囲まれて育ったせいか、シャイな反面癇癪持ちで、キレると大暴れしてそこらにあるものを壊しまくる。当たり散らしたあとには手も痛むし、悲しくなって泣いたりする。
そんなある日、バリーは姉の同僚・リナに一目惚れ。姉がいないとバリーは結構きちんと自分のことを表現出来る。リナもそんな彼に好意を持つ(実はそれより前に、リナはバリーに一目惚れしていたことが後で判るのだが)。ハワイ出張へ行った彼女をバリーは追いかけようとする。手続きに時間がかかるのでプリンのマイレージは使えない。でも会いたい。チケットを買って追いかける。最後に彼は「手続きが終わればいくらだって飛行機に乗れる。出張の多い君のところへいくらだって会いに行ける」と言う。
バリ−が姉たちに言いたい放題言われるシーンがすごくてなあ。皆いっぺんにしゃべりまくるんで字幕には目立った言葉しか表示されないけど、うるさいうるさいうるさい!これはも〜音聞いてるだけで消耗したもんよ。言葉がわかればもっとつらかろうよ。バリーがキレるのも無理ないって。この音のうざさはたまらんかった。
そしてこのうざったさを見せたことが、その後のバリ−の変化を印象づける。ハワイに到着したバリーが、リナの宿泊しているホテルを電話で姉に聞き出すシーン。姉たちの前ではいつもおどおどしていた彼が、この時ばかりは「教えろ教えやがれ!」と強く出る。リナのことを思う気持ちが、バリ−を一歩踏み出させているってのが感じられて、こっち迄嬉しくなった。寂しくてうっかりかけたテレフォンセックスで詐欺にひっかかり、恐喝されて泣きながら走って逃げたりしていたバリーが、リナと出会ったことで前向きになっていく。
うっるせー姉ちゃんが、最後にぽろっと「本当はそんなに変なコじゃないのよ」と言うとこも良かったな。あんなに弟のことダメだダメだ変人だって言ってたけど、他人に言われるとムッとしちゃうんだね。そこらへんを把握して受け答えするリナも素敵な大人。こういうとこがいつもニクいPTA作品。ちょっとしたエピソードがあとでじわっと効いてくる。
バリー(アダム・サンドラー)とリナ(エミリー・ワトソン)のカップルがホントかわいらしかった。ハワイで再会した時のキスシーンや、その後ホテルの部屋へ向かう時そっと手を繋いでちょこちょこっと歩いていくシーンがとても愛おしかった。サンドラ−愛らしいなあ。プリンを買い込んでるスーパーで小躍りするとことか、すごいかわいい。
あとルイス・ガスマンがよかったよ〜!このひとがいると和む。今回もバリーの相棒・ランスを言葉少なに演じてるんだけど、仕草とかホントチャーミング。バリーに合わせてスーツ着てきたり、一緒にプリンの買い出しに行ったりとかわいい。黙ってる時の間や無表情の表情に味があって、好きな役者さんです。PTA作品の常連、フィリップ・シーモア・ホフマンも、今回は少ない登場時間ながらいい味出してました。色気があるよねえ。バリ−の姉たちや詐欺グループの4兄弟(ホントに兄弟&いとこだそうで。エンドクレジットで同じ名字がずら〜っと出てきたので笑った)等、他の登場人物もいいカンジ。
歌ものの使い方がウマいのは毎度のこと。ジェレミー・ブレイクのアートワークを使った転換シーンもドランカーズの視点みたいで面白かった。時々本編にも不思議な光が入っていたんだけど、これはブレイクの作品ではなくて、撮影時に最初から設定して入れたものだそう。リナの登場シーンが逆光であまり顔が見えなかったり、光の使い方が印象的だった。
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08月06日(水)
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