ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『太陽の雫』
『太陽の雫』@三軒茶屋シネマ
発売されたばかりのDVDで観ようかな〜と思っていたのだけど、3時間と言う長さにちょっと尻込みしてまして。長い作品って家で観ると集中力が切れがちなので、映画館で観たかったのです。そんなところに再上映のお知らせが!願ったり叶ったりですよ!も〜遠足気分で前日には映画にちなんだハンガリーワイン(明治屋銀座店と玉川店で購入出来ます(笑))も購入(どうすんだ呑めんのに…)、当日も予定より早く目が覚める始末です。しょ、小学生魂…。
以下バリバリネタバレしてますのでご注意を。
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いやーっ、すごく面白かった!3時間が全然長くない!20世紀初頭から100年、ハンガリーに暮らし、ふたつの世界大戦を経たユダヤ人・ゾネンシャイン一族の物語。
三軒茶屋シネマってとても古い映画館で(そこがいい味出してます)椅子もギッシギシだったりするんですが、全くそんなこと気にならなかったわ〜。大河ドラマとかだったら1年かけてやるような内容ですよ。それを3時間でやってしまう訳で、展開が早い!「え、どうなんの?」「ええ、それからそれから!?」と身を乗り出して観てしまいましたよ…。それなのに実に丁寧、細やかにストーリーが描かれている(まあすんごい波乱バンジョーかき鳴らし唄い狂う(ホントは「唄い来る」だってのは知ってますよ!)って感じでしたが)。脚本のまとめ方がうっまい!んだと思います。一族三世代の男たちを全てファインズが演じると言う、死んでも死んでもレイフ・ファインズ(笑)な展開もスムーズで混乱しない。
これはファインズの演じ分けが絶妙と言うのもあります。終戦後イヴァンが家に帰ってきた時とか、ドアが開いたらまたファインズが!って感じなんだけど、この時の表情がねえ、ほんっと子供のような泣き顔だったんですよ。イヴァンの父親・アダムのような毅然とした出で立ちはかけらもない。父親が目の前で拷問され、殺されるのを見ているしかなかったイヴァンの無力感がその表情には溢れていました。これはつらかった…アダムが凍らされていくところも悲しかったけど、このイヴァンの泣き顔の方が個人的にはキたな。
終盤、イヴァンは「実のところ、ワイン調合法のメモなどなかったのだ」とナレーションしますが、これは彼等一族の人生のことを言っているようにも聞こえました。イグナツの改姓にしても、アダムの改宗にしても、よりよい道であった筈のそれが、結局は彼等の地位を、命を奪ってしまったりする。
動乱続きのハンガリー。オーストリアとの二重君主制から共産政権、スターリンによる独裁政治の余波。数年毎に主義が移り変わる国で生きる彼等の決断が、どんな誇りのもとに下されたものだとしても、歴史と言う大きな波は彼等を簡単に飲み込んでしまう。そんな人生を生き抜くレシピなんて、メモがあっても役に立つだろうか?
それでも彼等は、自分が選んだ道を後悔していないように見えたのです。祖父イグナツが捨てたユダヤ名・ゾネンシャイン姓を名乗ることにしたイヴァンが、清々しい顔で役場を出て街を行くラストシーンには素直に感動。「それでも人生は美しい」。鑑賞後の充実感がすっごくありました。映画館を出て、駅迄の足どりが軽かった。観てよかった。
そうそう、ハンガリーの季節感を美しく切り取るカメラワークも素晴らしかったです。
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ちなみに一族の柱〜イグナツの妻、アダムの母、イヴァンの祖母〜ヴァレリーはふたりの女優さんが演じており、このふたり(青年期/ジェニファー・エール、晩年期/ローズマリー・ハリス)が実の親子だってのも効果的。最初ふたりが入れ替わったの、気付きませんでしたもん。エールが老けメイクしてるのかな〜とか思っていて、観終わった後パンフレット読んで驚きました。いやー、それにしても女が強かったね。ゾネンシャインの男は皆押し切られてますよ!(笑)
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04月27日(日)
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