ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『Quartet/カルテット』
ネタバレしてますよ。あと粗筋を書いたりとか親切な事はしてませんよ。
中学生の頃吹奏楽部で、全国大会常連の学校と合同練習をした事がある。個人→パート→セクション→全体と練習を進めていくのだが、個人練習の段階では明らかに自分達の方がうまい!勝った!と思えるのに、それが合奏になるとハーモニーの差が歴然としてくる。昼休みに「なんだよ、○○中って下手じゃん」と言っていたウチらは(いやほら血気盛んな中学時代ですからねえ)夕方には皆打ちのめされて帰途に着いたのでした。ソリストとして優れている事だけが、素晴らしい音楽を生み出す訳ではないんだなあとその時小僧ながらに思い知ったものです。そりゃうまいに越した事はないんだけどね。
そんな事をいろいろ思い出しつつ、かなり感情移入して観てしまった。終盤のコンクールのシーンなんて身を乗り出して観てましたよ…。北野武監督作品でいちばん好きなものは『3-4x 10月』だったり(劇中ダンカンが唄うカラオケくらいしか音楽がない)、宮崎駿監督作品もちゃんと観ていなかったり(TVでやってるのを乍らで観たくらい)するので、久石譲氏の音楽にはあまり縁がなかった。このひとの作品でぱっと思い出せるメロディーは「となりのトトロ」くらいのもので。この『Quartet/カルテット』も、大森南朋くんが出演していなければ観る事もなかったかも知れないな。いやもう大森くん有難うって感じィ!(ギャル)面白かったよー。
カルテットは金にならないってのは意外だったなあ。弦ものを聴くには四重奏がいちばん面白いと思っていたのでこの現実には結構ショックを受けた。あとやっぱ管より弦の方が格好いい認識ってあるんだ〜(泣)なんだよう管だって面白いじゃんよう、管がうまくないとオーケストラは成り立たないじゃんよう、市民楽団って聴きに行くと大概管がダメじゃんよう、もっと大事にしようよう!才能がないやりきれなさとかも、こういう専門職ものにはつきもの。才能ってのはその能力だけでなく、単純に身体のつくりもハンディになる(指が短いとか)のでツラいよな…結構ヘコみます。これはスポーツにも通じるけども。で、スポ根の要素もあった。大介さん練習が進む毎にサポーターやら湿布やらが増えてくんだもん(笑)。実際ヴァイオリンやヴィオラはそのエレガントな佇まいからは考えられない程過酷な楽器だそうで、楽器を支える顎や首の皮膚は象のようにガビガビになってしまうらしい。当て布をしてもいいけれど、楽器の鳴りが鈍る。傷痕が残るので、女性の奏者は演奏の時以外はタートルネックを着る事が多いとか。
台詞が唐突で上滑りする部分があるが、演奏シーンに説得力があるのであまり気にならない。冒頭の、弦から松ヤニが飛び散るシーンからもう釘付け。役者さんの演奏(の演技)が素晴らしくて、違和感が全然ない。暖かい色調の画質も綺麗でした。
カルテットを組んだ役者陣も魅力的なひとたちばかりでした。偉大な父親に反発しながらも、最後にはその生き方を許せる思いに至った第一ヴァイオリン・明夫(袴田吉彦くん・時々ヌケてるとこが笑えた。このひとのキャラは独特で面白いなあ)、メンバー中いちばんの男ットコ前だけど脆い部分もあり、自分の才能の限界を知っているだけにひと一倍努力をする第二ヴァイオリン・智子(桜井幸子さん・格好よかったー)、音楽で人を感動させたいと三浪して迄音大に入ったヴィオラ・大介(大森くん・「ひとに聴かれてなければうまく弾けるんだけどなあ」、背後の牛を気にしての演奏とオモロ要素満載(笑))。小柄で手も小さく、向いていないと言われても、演奏するのが大好きなチェロ・愛(久木田薫さん・流石現役芸大生、演奏シーンの迫力は随一)。皆どっか欠けてる部分があって、でも音楽の事が大好きで。そらもう応援したくなりますよ!終始ヒヤヒヤして「が、がんばれ!」と握り拳で観てしまったよ。男性陣がふたりとも美声だった。声楽の映画も撮れそうです(笑)。ポップス演歌歌手のBOBAさん(笑)、先輩ヴァイオリニストのおひょいさん、おっとり教授の三浦友和さんもよかったなあ。
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04月03日(水)
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