ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『彦馬がゆく―HIKOMA, THE HERO.―』
ネタバレありありです。
再演を観に行ったのはもう9年前(!)東京サンシャインボーイズ(TSB)の名作(つうかここのは全部名作だけどね!)『彦馬がゆく』の再々演。パルコ劇場はチケット確保出来ず、ル テアトル銀座での観劇。松重さんの舞台も何年振りだろう。松重さんのファンサイトで(お世話になっておりますー(私信))、昨年ご本人が「メリークリスマシ!この意味は来年になればわかります」と書き込みされていたんだけどやっとこれの意味がわかったよー!
三谷さんの脚本は、序盤何げに笑わせる台詞として語られていたものが、終盤「こ、こういう事だったのかー!」と涙ぶわーっ!となる事が多いのだけど、再演観てたのにも関わらずまた泣いてしまったさーああ泣いてしまったさ。今回は「おーまいがー」でキたね!これと「メリークリスマシ」、「シューズ!」「ハニムーン」は、松重さん演じる維新派の坂本龍馬が憶えてきた英語。戦火が神田家に迫り、皆が逃げ出すシーンで、家の床下から龍馬に贈られたシューズを「おーまいがー、おーまいがー」って言いながら抱きしめる小豆役の酒井美紀さんがかわいくてけなげでああ泣いたさー。
三谷解釈の坂本龍馬像は、観客に考えさせる事を多く含ませた、おいしいながらも複雑な役。結局のところ、龍馬が神田一家に近付いたのは、小豆と恋仲になったのは、政治的理由のみだったのか、それもあったけど神田家にも小豆にも悪意のみを抱いて接してたのではないのだろうなあと思わせてしまう辺り、憎いよこのー!それを松重さんがねえ、もうねえ(泣)うわー似合うんじゃー!あー大好きだー!着物にブーツがステキ過ぎるんじゃー!
登場人物が皆愛すべきキャラクターなのも大きな魅力。語り手の、ぼんやりしてるけど写真家の才能に長けていた神田家の次男金之介(筒井道隆さん=新撰組に勧誘されて泣いてる所がかわいかったー)、ダメダメでお調子者だけど憎めない長男陽一郎(伊原剛志さん=最高のバカキャラでした)、そんな長男が大好きなしの(瀬戸カトリーヌさん=声量が凄い!歌がうまい!びっくりしたー)、ひがみ屋の桂小五郎(梶原善さん=流石のTSB組おかしすぎ、ずるい(笑))、最期を悟って写真を撮りに来た時の、晴れ晴れとした笑顔が絶品だった近藤勇(阿南健治さん=同じくTSB組、げんこつ手品は健在)、イメージづくりに懸命だった西郷吉之助(温水洋一さん=同郷なんですよ…九州弁はすんなりヒアリング出来て笑かして頂きました)、百姓気質が抜けないで、さといもを神田家に送ってあげたりする優しさがあった伊藤俊輔(大倉孝二さん=ああ大好きだー!最高)、「僕って呼ぶな!」の高杉晋作(笑・本間憲一さん=ミュージカル・ダンスと畑違いの役者さんですが見事にハマッてました)。皆おかしいんだけど、自分の力ではどうにも出来ないもの〜時代の流れだったり、病気だったり〜に翻弄されてしまう。そこでまた涙が出ちゃうんだよう。
そして神田彦馬役の小日向文世さん。よかったよー。普段はホントにダメダメで、娘や息子にドヤされてばかりで、言いかけた事をすぐ「やっぱいいや」とやめちゃって、「それがまたイライラするんだよー!」と怒られて(笑)。でも写真家たるもの、政治に関係なく撮ってくれと来てくれたお客さんは撮る、現像版は大事に扱う、それが政治に利用されても、自分の家族が利用されていても。自分の仕事に誇りを持っている。『HIKOMA, THE HERO.』のサブタイトル通り、彦馬の偉大さを、偉大さと感じさせずにさりげなく描く。『笑の大学』の時の喜劇作家像にも思ったけど、これは三谷さんそのものなんだろうな。本人否定するだろうけど。それを小日向さんは、あのさりげない中にも芯のある優しさで演じられていて本当にステキでした。
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03月17日(日)
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