ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『アルトナの幽閉者』『ASYMMETRIA』
暗闇に白熱灯の灯りが浮かび上がる。心臓の鼓動の音とシンクロしている。山川さんが再びステージに上がり、ギターのフィードバック音とともにホーメイを唱える。いたい、いたい、と横町さんが繰り返す。「痛い」だと思われたそれは、やがて「ここに」が加わることで意味が変わる。こことはステージのことでもあるのだろう。しかしそれは観客が、パフォーマーである横町さんに抱いたイメージだ。踊ることを、演じることを離れていた彼女のことを思う。こうして再びステージに立つ迄、「痛い」が「ここにいたい」へと辿り着く迄、彼女にどれ程のことがあったか、どれ程のことを思ったか。きっと私の想像等及ばない。だがしかし、それを経て差し出された作品を観て、そこから想像を拡げることは出来る。『4.48サイコシス』を観たときに感じた、生きていることの意義や意味を追うものではない、ただただ生命と言うものの圧倒的な力がここにあった。今回スタッフに小駒豪さんらサイコシスのメンバーが参加していたことにも得心。
暗転。暗闇のなかから山川さんが語りかける。あなたの左手はどこにありますか。その居場所は地図に載っていますか。私はここにいます。終演。
いなくなった半分はどこにいるのか。それが示された地図はどこにあるのか。地図を探す旅は続く。その歌声とダンスは、息を呑む程美しかった。
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『アルトナの幽閉者』にも『ASYMMETRIA』にも大きな鏡が出て来た。ひとの姿を、内面を、過去と未来を映し出す鏡。
03月01日(土)
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