ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■SAVE THE どん平 安藤玉恵による“とんかつ”と“語り”の夕べ vol.1『切断』
想像力を刺激し、ないものをそこにあるかのように見せるのが演劇だが、その逆もある。そこにあるものが、ないものを甦らせる。時折肌に触れる冷たい外気、揺らめく火が送る暖かさ、ものが燃える匂いは、芝居がはねたあと、もっと遠い未来にも、このお芝居を目の前に立ち上がらせてくれる。

アフタートークのゲストは罍(もたい)陽子さん。前説でもあった今回のお芝居と安藤家の縁から、どん平の味と歴史迄、笑いの絶えないひとときでした。安藤さんのお祖母さまが、事件後現場の土地を買ったのだそうです。「当時は安かったんでしょうね〜(笑)」「私がこどもの頃はまだ建物も残っていて、生まれたときから身近で、それがあたりまえだったんです。『キャンディ・キャンディ』で『私キャンディ!』ってごっこをやるように『私阿部定!』って遊んでましたよ」「荒川区にここを阿部定ストリートと名付けてもらって観光名所にしたい(笑)」「尾久産業ってすごい有名だと思ってたけどあまり知られてなかったんですねえ」。罍さんは燃える酒鍋はどうやって作るか、どんなにおいしいかを熱弁し、安藤さんに「お店のことこんなに詳しく的確に話してくれたゲスト初めて、ここだけ(お店の宣伝のために)配信したい」と喜ばれていた(笑)。罍さんの「だってこれSAVE THE どん平でしょ! そのためにやってるんでしょ!」「私たちの力じゃ地球は守れないかもしれないけど、どん平は守れると思うの!」って言葉が沁みた。自分の周りをちょっとずつ。それをそれぞれがやれば、見える光明ってあると思うんです。

出演、舞台装置、制作。安藤(タニノ)家、総力あげての公演でした。終演後、お食事の用意になるとき安藤さんが「ここからは飲食店の仕切りになります」っていったのが格好よかったな。配信が当たり前になり、その効力に感謝しつつも、やはり演劇を現場で観られる幸福に勝るものはない。ここへ足を運ぶことが出来て本当に良かった。

お店の営業状況と安藤さんのスケジュールの関係で、公演は不定期。お芝居45分+アフタートーク15分の、感染対策もバッチリな作品です。『切断』は「vol.1」となっているので、作品を変えて「vol.2」と続くかも。どん平の営業がもとどおりになったら公演も終わる。それがいちばんいいのだけれど、また機会があったら行きたいな。

どん平のとんかつは「豚バラ肉を長時間煮込んでから揚げて特製デミグラスソースでいただく“ニュータッチとんかつ”」。確かにこれは初めての食感。おいしかった〜! 荒川都電に乗ったり、近所を散歩したりと、サイトスペシフィックアートとしても楽しめる公演でした。楽しかった! pic.twitter.com/rKAFslNUGK― kai (@flower_lens) December 20, 2020
予約の際、店内飲食かお弁当かを選べます。特製とんかつ弁当と、追加でかつサンドをテイクアウトでお願いしました。店内飲食だとごはん、味噌汁、キャベツはお代わり自由。テイクアウトの場合ワンドリンク付き。
「こ、これがニュータッチ……!」なほろりとしたとんかつは勿論、副菜もそれぞれ丁寧につくられていて(お新香が「おっ」となるおいしさ)舌鼓を打ち鳴らしましたよね。写真は一緒に撮ったけど流石にかつサンドは翌日に食べたで……当日パンフレットにあった通り、アルミホイルに包んでオーブントースターで温めて、おいしくいただきました。ごちそうさまでした!

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・安倍定(失楽園)事件を歩く┃東京紅團
先にこれ読んでから行けばよかったかな、と思うものの、初見は驚いて復習で楽しみたい派なのでした。「(失楽園)」って入ってるところに、時代を感じますねえ。2000年に書かれた記事。
「平成9年(編注:1997年)まで『満佐喜』の建物が残っていた」。アフタートークで「あの角を曲がってこう行ったところです」って説明はあったけど、当時とは様子がすっかり変わっているので見当がつかず、行き着くことは出来なかったんですよね。いや、気づかず通り過ぎていたかも。本当に近く、すぐそこだったんだ

・孤独のグルメ Season3 第10話「東京都荒川区西尾久の炎の酒鍋と麦とろ飯」┃テレビ東京・BSテレ東
・ストーリー 孤独のグルメ Season3┃テレビ東京

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12月20日(日)
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