ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『あの出来事 The Events』
上演前、「聴こえないひとのために」という説明で日英字幕付の公演であることを知らされる。しかしこれが説明以上の大きな効果をもたらす。劇中唄われるのは、台本の指示に従い合唱団のメンバーが自分たちで選んだ「Greensleeves」と賛美歌、Dizzee Rascal「Bonkers」のカヴァー、そしてオリジナル5曲(作曲:ジョン・ブラウン)。英語のまま唄われるものと日本語に訳して唄われるものが混在している。舞台上の合唱団が英語で唄うときも、日本語訳が併記されて字幕に映る。合唱団が唄う多言語の歌詞の意味を知ることが出来るのだ。ただし、訳語が出ない言語の歌詞もある。それらの言葉はときにクレアをたちどまらせ、問いを投げかけ、そして寄り添う。
多文化主義の合唱団。さまざまな文化的背景を持つひとたちが、ピアノの伴奏(斎藤美香)にあわせ同じ歌詞を唄いハーモニーを奏でる。ラストシーン、クレアはかつて少年にかけたのと同じ言葉で観客に語りかける。その意味は多面体となり、大きな輝きを放つ。
これを音楽劇というならば、私が欲しているのはこういう音楽劇だ。くらしの傍にあり、人生に寄り添う音楽が流れる演劇。
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・『ここには、「わかり合えない」の果てが描かれている』┃『あの出来事』瀬戸山美咲×谷岡健彦 対談┃ステージナタリー
「『赦す』『理解する』ってことじゃなくて、『わかり合えない』ということにたどり着き、その果てが描かれている。そこが信じられるなと思いました。」合唱団の重要性についても
・合唱団にはゴールドシアターの石川佳代、上村正子、谷川美枝がいた。小久保さんと共演してるってところがまたうれしかったりもしました
11月17日(日)
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