ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■六月大歌舞伎 夜の部『月光露針路日本 風雲児たち』
笑いと涙がめまぐるしく入れ替わるのも今回の特徴。第三幕 第三場「露西亜国イルクーツク元の光太夫屋敷の場」が秀逸。「ロシア式のお別れの挨拶」として光太夫が庄蔵にキスをする。あちこちから笑い声が起きるも、直後に唸る義太夫(浄瑠璃:竹本六太夫、三味線:鶴澤公彦)、慟哭する幸四郎丈、猿之助丈、愛之助丈。衝撃といっていい程の凄絶さだった。静まり返り見入る観客、やがて鼻をすする音があちこちから。この名場面は歌舞伎でなければ観ることが出来なかった。そして歌舞伎の裏方さんたちの懐の深さに舌を巻いたな…現代劇の演出家を迎えた歌舞伎公演を観る度巻いてるけどな……美術(堀尾幸雄)、照明(服部基)、衣裳(前田文子)等のスタッフは三谷さん側から現代劇チームを招聘していましたが、注文に応じて小道具から何からバッチリ「歌舞伎の装束として」揃えられるこの地力。第二幕 第四場「露西亜国雪野原犬橇疾走の場」がもう、もう! いぬたちが登場したときの客席のどよめきといったら! いぬの着ぐるみ、いぬたちの隊列、鳴りものにのせて走るフォーメーションをアングルを変えたっぷり見せるさま、そのいぬたちが吹雪のなか一匹一匹力尽きていく所作……ここも実はめちゃめちゃ歌舞伎だった。物語の展開はだいじだけど、歌舞伎ならではの幕見でこの二場面だけでも観てほしいです。私はここでいちばん泣きましたよ……。
猿之助丈の個人技も堪能。通る声と美しい口跡でぼやくぼやく、船から落ちたり橇から落ちる動作からコサックダンスを模した所作へと繋ぐ。その滑らかさ、無駄のなさ。ぐいぐい観客を笑わせ、沸かせ、のめりこませる。会話のリズム感も抜群。いやはや、脱帽。思えば『黒塚』は、初代猿翁がロシア訪問で感銘を受けたバレエやコサックダンスをとりいれた踊りもあった訳で、こんなところで縁があったなあとも思い出したりも。エカテリーナ(二役)の華やかさも素敵でした。蜷川さんと組んだ『じゃじゃ馬ならし』を思い出しましたね。
三幕で満を持して(?)登場、八嶋智人も松也丈の「先生」同様客席を味方につける。観た感じでは完璧に通常営業でした。頼りになるわ……。異文化に興味を持ち、積極的にその対象へ向かっていく博物学者という役柄もぴったり。硬軟織り交ぜ芝居を転がしてくれました。最年長の水主、久右衛門を演じた彌十郎丈(ブログで喉の不調を訴えられていたので心配していたけど大丈夫だった。千秋楽迄おだいじに……)、ロシアの娘マリアンナを演じた新悟丈(うきゃーかわいい! 民族衣裳も似合っててお人形さんのよう! そしていつも声が素晴らしい!)。高麗屋三世代の連携と、よきお仕事を観られて幸せでした。
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・ちょっと気になること。事前説明的な口上があるのは導入として面白いしいいと思うんだけど、ここ最近、「お芝居ですからね、想像力を働かせてくださいね」とわざわざいう公演が多くなったような印象。やる方も不安なのかなあ
・歌舞伎座「六月大歌舞伎」初日開幕┃歌舞伎美人
「犬ぞりで雪原を走る様子は、歌舞伎座では見たことのないスペクタクル満載な場面となりました」。いやホントに……この画像もっと大きいのないかなーアーカイヴされてるとこで
・【公演レポート】涙と笑いが歌舞伎座を包む「六月大歌舞伎」、“三谷かぶき”はトリビ屋の大向うも┃ステージナタリー
私が行った日は威勢のいい大向こうさんが結構いて、「トリビ屋!」もいい感じに飛んでおりました。楽しかった! そしてチェブラーシカとのコラボクリアファイル、かわいいよ〜
ロシアものってことで関連グッズもいろいろあったんだけど、なんとアリョンカのお菓子がありました。おなじみチョコレートと、マラコークッキー(QRコードかわいい)。マラコーが何かは劇中出てきます、ロシア語講座見続けてきてよかったと思える場面も🇷🇺 pic.twitter.com/8vr3dJwiM7― kai (@flower_lens) 2019年6月8日
アリョンカを歌舞伎座で買えるなんて…前述のチェブコラボといい、松竹のリサーチ力よ……。チェブ以外のロシア雑貨もいろいろ売ってました、マトリョーシカとか
・【東京會舘とパレスホテル東京】 マロンシャンテリー食べ比べ【銀座スカイラウンジ】┃雑記と記録。
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06月08日(土)
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