ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■Jun Miyake『Lost Memory Theatre』The Concert
終盤は一部のひとが積極的に歓声をあげたり指笛を飛ばしたりして、すっかりくだけた雰囲気に。このスモールオーケストラには猥雑な妖しさがよく似合う。四半世紀前に初めて観たときは、熱帯に突如現れたグランドキャバレーのハウスバンドを連想した。会場が青山のCAYだったこと、21時開演の公演だった影響も大きい。村上“ポンタ”秀一、小林靖宏(coba)、窪田晴男らが演奏するバンドで、福岡ユタカ、中島花代、原マスミらがヴォーカルをとった。宮本さんはこの頃からマルチプレイヤーで、パーカッションもこなしていた。彼らはCAYに棲んでいて、ここに足を運ばなければ逢うことが出来ない……そんなイメージも記憶として残っている。

宮本さんとともに三宅さんのキャリアには欠かせない存在である(前述のCAY、『常夏乃憂ヒ』メンバーでもあった)伊丹さん。宮本さんからマルチリードパートを引き継ぎ八面六臂の活躍を見せたアンディ。シャイな様子と深い歌声のギャップに驚かされるブルーノ。美しくも不穏なハーモニーを響かせる金子飛鳥率いるカルテット。遮音用アクリル板の向こうから、ボサノバ、カリプソ、アフロキューバンと、優雅にビートを刻み続けたルイス。そして日本語を交えた歌唱とポエトリー・リーディングで幻の郷愁を誘う勝沼さんの声。エキゾティックでエロティックなモンドミュージックは、スタイルをそのままに旅と出会いを経て、今や風格すら備える。本編を締めくくるナンバー、「Petal」には恒例の演出がある。曲が進むにつれ音数が減り、演奏を終えたプレイヤーがひとりひとりステージから去っていく。最後に残るのはベースとフェンダーローズ。三宅さんのバンドでバカボンのベースが聴けたのも嬉しかったです。

アンコール、記憶の住人が再び揃う。弦楽四重奏のピチカート。わあっと歓声があがる。『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』では「Lillies Of The Valley」として知られている「Alviverde」だ。失われた記憶を宿す劇場の住人たちは、各々違う時間を歩む。いつかまた、今夜の記憶を持つこの劇場が現れますよう、記憶のなかの住人と逢うことが出来ますよう。

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セットリスト

<Set 1>
01. Undulation
02. Alta Mar醇P
03. Deciduous
04. Pontual
05. Outlier
06. Etume
07. Bre Petrunko 12
08. Easturn
09. Easy To Let Go
10. Tres LIVE
11. the here and after
12. merry widow KAAT edit
13. flutter
14. Coronation
15. Le voyageur solitaire LISA

<Set 2>
01. Assim醇Ptrica / Older Charms
02. the world i know
03. abshana
04. White Rose
05. red shadow
06. Olhos Escuros
07. Exibida
08. colors
09. zed fate
10. Sednato Djore
11. STILL LIFE
12. Frozen Tide LIVE_single
13. All names
14. A Lua pela grade
15. A distant road
16. est-ce que tu plus me voir?
17. Petal

encore
01. A Wish Away
02. Alviverde

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三宅純(flh, fender rhodes, p)

Lisa Papineau(vo)

Cosmic Voices:
Vanya Moneva(conductor)
Anna Natskova(vo)
Veselina Kurtiyan(vo)
Diana Teneva(vo)

Bruno Capinan(vo))
勝沼恭子(vo)
伊丹雅博(g, oud, mandolin)
バカボン鈴木(b)
Ze Luis Nascimento(per)
Andy Bevan(multi reeds:fl, afl, ss, as, bs, bcl)

金子飛鳥(vln)
吉田篤貴(vln)
志賀恵子(vla)
多井智紀(vc)

Philippe Avril(PA)
zAk(PA)

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・原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO┃BLUE NOTE TOKYO
BLUE NOTE公演のレポート。こちらも行きたかったなあ

(20181130追記)
・【三宅 純】大作の“完結”から1年「今はニュートラルな状態を楽しもうかなと思っています」│ARBAN
・「本来こうありたいという姿に」三宅純がKAATで特別な一夜│ぴあ
・【インタビュー】三宅純│ローチケ
インタヴューいろいろ。ボヘミアン? コスモポリタン?

11月23日(金)
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