ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『ライン(国境)の向こう』
戸田さん、高田さんめちゃ格好よかったー。ふたりとも声の力が強いからね! かわいい声、怖い声、優しい声。親としての声、女性としての声。その説得力たるや。清野菜名さんは舞台では初めて観たけど堂々としたもの。それにしても皆さんもんぺにほっかむりが似合う(笑)…いやこれ笑うとこではないな、それだけ田舎で生活するひとの姿が映し出されていた、と言うことだろう。男優陣も田舎の人々、と言うのが板についており、愚かな人物造形もそれは見事でほんっと腹が立ったわー。特に谷仲恵輔さんな! 彼と寺十吾さんが激昂してけんかになるともう何言ってるかわかんない(笑)、なまってるし早口になるし。そこらへんが逆にリアルだった、怒ると当人でさえ何言ってるかわかんなくなるもんだわね。近藤さんの、気は小さいが心の奥は揺るぎない家長も味わい深くてよかったな。
皆さん実年齢に近い役柄なので、チョコレートケーキの面々は若い兵士、若い青年。それ故ストーリーには描かれない、軍隊に属するが故の苦悩を思い胸が痛む。年寄りのように諦められない、こどものようにわがままを通せない。善悪の区別もつく、だからどうすればいいのか解っている。それなのに社会がそれを許さない。どうすればいいのだろう、と言う思いが強く伝わるもの。南北の兵士を演じた、達観しているようで強い悔みを持つ岡本篤さん、真実を見据える賢さ故に、祖国にも自分にも誇りを持てない西尾友樹さんが印象的。
惜しむらくは段差なしのE列で見えない箇所があったこと、同じく位置が原因なのか音の返りが悪く聴き取れない台詞があったこと。専門的な語句も多かったしね…と言いつつ「ろすけ」はすぐ「露助」に脳内変換される自分もどうかと……。『追憶の〜』でもそうでしたが、「観劇資料集」として関連年表や語句説明掲載のリーフレットが配布されるのは有難いです。
扇田昭彦さんに観てもらいたかったな、と思った。先日行ったスズナリでもそうだったが、今でも姿を無意識に探してしまう。ミュージカルから伝統芸能迄あらゆるジャンルを網羅していた方だが、それだけいろいろなものを観ているにも関わらず小劇場で本当によくお見掛けしていた。チョコレートケーキも以前からご覧になっていたと聞く。どんなレヴューを書かれただろう。
12月18日(金)
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