ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『犬どろぼう完全計画』『フレンチアルプスで起きたこと』
五日間の休暇でスキーにやってきた家族。一日目はそれなりに楽しく過ごします。でも写真を撮ってもらうとき、妻が夫に対してちょっと違和を感じているシーンがちゃっかり入れてあります。二日目の朝事件は起こる。朝食をとっていたレストランを雪崩が襲い、家族を置いてひとりだけ一目散に逃げたお父さん。いや〜な雰囲気に包まれる一家。その夜ホテルで知り合った男女に、夫がそのときの話をする。いやーすごい雪崩だったんだよ、逃げる程ではなかったけどね……はぁ? あんた真っ先に逃げたやん、泣き叫ぶ息子を置いて。と観客の頭にモヤ〜としたツッコミが入ると同時に映るはぁ? と言う表情の妻。ここから『ゴーン・ガール』ばりのディスコミュニケーション漫才が幕を開けます。
まああれよね…「あなたがたの中で罪を犯したことのない者が、まず、この女に石を投げなさい」と言う話ではありますね……最後の妻の行動で、夫を一方的には責められないよとフックを残していますし。しかしこれも鶏が先か卵が先かのあれで、相手がああ出たからこちらもこうした、の堂々巡りです。三日目から登場したワケアリカップルの男性が言うように、人間は動物。家族と言うコミュニティを維持するためには訓練=芝居が必要。最終日、こどもたちを安心させるために夫婦が打ったひと芝居(と判断した)によって、一家はかろうじて修復の道を選びます。さて未来はどうなる。こどもたちもパニックになった父親を前にして「パパ泣かないでー!」と一緒に泣きだしてしまうけなげさだけど、自分を守ってくれる場所を失うのは困ると演技をしたこども時代の記憶が自分にもありますよ。家庭の維持と言うのはたいへんです。何故そう迄して家庭を守ろうとするのか? 絆とは愛情によるものだけではないのです。
一日目、二日目、と日が変わる毎にテロップとテーマ曲(ヴィヴァルディの『四季』より「夏」)が挿入されるんですが、この緊張感ったらない。と言うか、テーマ曲が入る迄の緊張感がすごい。ある意味夏向け、涼しくなるよい映画です(ニッコリ)。
08月01日(土)
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