ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『アドルフに告ぐ』
カウフマンの母親を演じた朝海ひかるさん、語り部でもある鶴見辰吾さんも素晴らしかった。ふたりは人間の不屈の強さ、希望の象徴でもあった。あとしんぺーさん、観ててつらいーつらくなる程キツい役。八百屋舞台なうえ、左右にスライドする板に乗降しての演技、その段差上でのアクションも多い。全員事故や怪我なく千秋楽を迎えられますように。

第二次世界大戦にのちの中東問題の種をしかと示す原作に改めて震撼する思い。脚本も要所をおさえた骨太な構成。音響も素晴らしかった、特にヒトラーの演説シーン。PA、サウンドシステムはナチスが発展させたと言う有名な話を思い出す。他の劇場でもあれ再現出来るのかな? ミュージシャンのふたりをレストランの楽士に見立てるワンシーンもよかった、ホッとするひととき。

あと一回観ます。つらい話だけど楽しみ。

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・ひとつだけ納得出来ないこと
1970年代の登場人物がslipknotのTシャツを着ている。汚してはあるのだが、正直あのロゴは見間違いようがない。なんでよりにもよってバンドT、しかもアメリカの。着ているのはパレスチナ側の人間ですよ……ロゴが見えた瞬間我に返ってしまった。これは残念でした。どうせわからないだろうと馬鹿にされてるのかなあ。悲しい

・いやひょっとしたら
slipknotって1970代に何か由来があるのかな、あのロゴにも元ネタがあるのかなって調べてもみたよ…自分が知らなくて的外れなこと書いたらいかんしと思って。調べた限りではそういうことはないようだった

・いやいやひょっとしたら
これは現在に繋がることで、今も続いてるんだよって意味合いもあるのかなあ(いい方に考えたい)

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■アフタートーク
成河さん、鶴見辰吾さん、手塚るみ子さん。興味深い話が沢山聞けました。以下印象的だったところをおぼえがき。記憶で書いているのでそのままではありません。

・鶴見さんとるみ子さんは中学高校の同級生。今でも同窓会で会ったりしている。芸能活動をしているとか、有名人の娘と言ったことにバイアスをかけないこうふうだったので、学生らしく接していた
・「その頃から自転車に乗ってたんですか?」と尋ねた成河くんに皆ウケる。答えて鶴見さん「はい、自転車で通学してました」
・鶴見さん「今横浜に住んでいるのでこの劇場に出られて嬉しい」

・家族旅行行った神戸。そこで目にした風景をのちに『アドルフに告ぐ』で見たるみ子さん。「あとにして思えば旅行と称して取材もしてたんだなと(笑)」そういうことはちょくちょくあったそうです
・手塚(治虫)さんのお父さまは写真が趣味。戦前の神戸ユダヤ人コミュニティーの写真もあった。「祖父から父へ、そして父から私たちの世代へ…と受け継がれていったのだなと」とるみ子さん

・自分の役と話せるなら、どういった言葉をかけますか? と言う質問に
鶴見「有難うと言いたい。左手が使えなくなっても右手で書くことが出来る、耳が聴こえなくなっても目が見える。これを今、この時代に僕に演じさせてくれて有難うと」
成河「は〜、考えたこともなかった。いい質問ですね〜! …いい質問ですね〜!(場内笑。あと1〜2回は言ってた)……まだわからないです。難しい。この役を理解出来た! と思えることはないと思うんです。『あ〜あっちに行っちゃったかぁ』なんて、実際そうなんだけど、簡単には言えない。悩みながらやっていくしかない、前に進むしかない……」

成河くん結局何て声かけるか言いましたっけ…思い出せない……本当にギリギリで演じているさまが感じられました。だからこそ観客の心に刺さるのだと思いました

06月04日(木)
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