ID:43818
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by kai
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■pafe.GWC 2014『歌舞伎ラボ 実験上演』
武谷:『夕鶴』、山本安英演じるつうの模写。木之下「歌舞伎は様式、新劇は形態模写やね」、武谷「スタニスラフスキーシステムと言うのがあってですね!」、木之下「雀もできひん? 夕雀」「じゃあ孔雀は? 夕孔雀」、次々やってみせる武谷さん。「チュン♪」「いっちょにくらちゅのよ〜」とか言う。孔雀のときの声色は、木之下「美輪明宏に似てる」。大ウケ。

3. 台詞
武谷:鈴木忠志演出『トロイアの女』、白石加代子を模写。あまりに迫真のため、新悟「こわい!」。木之下「鈴木メソッドですね。身体と言葉が分離している」「こういうところは歌舞伎に近い。新劇よりもアングラの方が歌舞伎と共通性がある」。強力なメソッドなので、なかなかこの型が抜けないと白石さんが言ってた、って蜷川さんが言っていたなあと思い出す。
新悟:黙阿弥『三人吉三廓初買』、お嬢吉三の七五調「月も朧おぼろに白魚の篝かがりも霞む春の空〜こいつぁ春から縁起がいいわえ」。木之下「意味を考えちゃうと、何言ってるか解らないと感じますよね。調子(リズム)重視と言うか」、武谷「だいたい内緒にしとかなきゃいけない、お金をとったことを…」、木之下「言いふらしてる!」、新悟「台詞の意味をすんなり解らせないで伝えるために、まわりくどくなっているんだと思います」。

4. 劇構造
武谷:いやーこれは見モノでしたよ、岡田利規『三月の5日間』! 木之下さんとふたりでどんな構成の戯曲か説明している…と思いきや、いつのまにか劇世界のなか。どこから台詞だったか判らない。そしてさりげな〜く新悟くんが舞台に上がってくる。台詞を口にはしていないけど、あのだらっとした現代の若者のたたずまいはチェルフィッチュの出演者の身体表現! 貴重〜! 武谷「『おー』『あー』『えっとー』とか、ちゃんと台詞に書かれてます。あのだらっとした動きも全部ト書きで指定されてるんです」。木之下「新悟さんチェルフィッチュから出演依頼来るかもしれませんよ」。
新悟:実盛物語(『源平布引滝』)。新悟くんのこのかたり、声色が海老蔵さんに似てるな〜と思った。口跡はまた違うんですが。木之下「入口が違うんですよね。歌舞伎は『この強度で行きます! これはものがたりです!』って最初に見せてそのまま行くんですよね。チェルフィッチュはリアルからすうっと劇世界に入る」。新悟「舟も風も再現しますからね。自然現象を表す型もありますし」、木之下「扇子をバッと振ることで風が表現されたり」、武谷「強度がすごい」。

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休憩をはさみ、後半はこれらの手法を応用し『壺坂霊験記』第一景を実演してみる異種格闘技戦。「歌舞伎と現代演劇は共演出来るのか?」。新悟くんは和装、武谷さんは洋装の稽古着に着替えて臨みます。舞台の上には火鉢とスリッパ。『壺坂霊験記』は九月の『やごの会』で、沢市=彌十郎さん、お里=新悟くんで上演されたものが記憶に新しく、細かいあれこれを楽しく観ることが出来ました。

1. 沢市=武谷、お里=新悟。どちらも歌舞伎調
武谷さんの沢市、彌十郎さんの模写かな?

2. 沢市=新悟、お里=武谷。どちらも現代劇調
武谷「杉村春子調でやります」。「最初の歌は明るいものでやってください」と言う木之下さんのリクエストに、新悟くんはエアギターの「恋するフォーチュンクッキー」で応え大ウケ。その後もノリノリ、「ぶっちゃけ」とか「〜じゃん!」とか言う。それを受けて武谷さんもノリノリ。木之下さん笑いつつも「主張強過ぎ! 抑えて!」とダメ出し(笑)。「話が小さいね〜。渡鬼の音楽がかかる」。

3. 沢市=武谷=現代劇調、お里=新悟=歌舞伎調
武谷さん冒頭の弾き語り「涙のキッス」、新悟「サザンオールスターズなんか唄うて」とアドリブで応酬。木之下「選曲が安直だねー」。木之下さんズバズバ言いますが、合間にこの場面で沢市が唄っている歌詞の内容等をさりげなく説明していきます、こういうとこ流石。この辺りから、演者が作品の台詞は勿論その構造、言葉の意味を身体に叩き込んでいるのでどんな要求にもすぐ応えられるのだと実感してくる。と同時にお互いがお互いのジャンルを翻訳する実力にも感服。

4. お里の「くどき」を新悟くんが実演(歌舞伎調)

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11月27日(木)
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