ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■城山羊の会『効率の優先』
客席は演技エリアをコの字型に囲むように配置されており、席によって登場人物の表情は見えたり見えなかったりする。あのとき彼は、彼女はあの言葉をどう受け取っていたかを想像し乍ら観る面白さもありました。まともなひとがひとりもいねえ。でもまともって何かしら?常識の位相がジワジワズレていくさまが怖いやらおかしいやら。人間のグロテスクな感情をこうもおかしく悲哀を持って描かれてはもう笑うしかないわー。皆やるなら徹底的に隠して!隠し通して!バレても知ったこっちゃないけど!一日の三分の一から半分を過ごす職場、そこが人間関係でこじれまくってるストレスたるや。そんなところにどーして在籍し続けるのって言えれば楽ですねえ。

細やかな言葉のひとつひとつが「濁った芽」になる。この「濁った芽」って言葉自体も面白かったな。目じゃなくて芽。わざわざ「芽の方ですか」って台詞で確認する念の入れよう。全員が張らなくても通る声で、そのむずむずする会話が展開される。いかにもありそうだわーと思えてしまうところがまた怖いですね(笑)。ある意味ブラック企業、業務と直接関係ないからタチがわるい。広告代理店勤務だった山内ケンジさん、職場で何を見てきたの…虚と実の境目はどこですか……。そうそう、あの当日パンフのごあいさつをどこ迄信じていいか判らずオロオロしました。上演観た直後なんか「ああこういう人間のどろどろを深いとこ迄探ってたらおかしくもなるわねー」なんて納得してしまったくらいです。後に知ったところによると、「ごあいさつを書いたのが奥さまってのは本当」「入院云々の内容は嘘」「ハイバイが大好きってのは本当」だそうで、ちょっとホッとしました。おっかない作家さんだわー。

次作も観たいなー、優先順位がグッとあがった。そうなんだよなあ、観たいものの優先順位をどう決めていくかと言うところもやっかいだ。今回のタイトルじゃないけど『効率の優先』で決められればどんなにいいか。でも、効率を優先させるとああいうことになる訳です(笑)。ままにならぬは浮世のならい。

06月14日(金)
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