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I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『ホーリー・モーターズ』
ひとりひとり、演じていた人生を終えていった。ピエールを演じたギョーム・ドパルデュー、仲違いしたままだった撮影監督ジャン=イヴ・エスコフィエ、ともにテオ・フィルムを設立したアルベール・プレヴォ。そしてパートナー、カテリーナ・ゴルベワ。エンドロールには彼女の肖像写真と、ロシア語で短く書かれた「カーチャ、君に」の献辞が映る。ゴルベワの娘ナースチャは、冒頭のシーンで丸窓の奥からオスカーを見送る。この映画で個人的にいちばん心に残ったキャラクターは、初めてのパーティに出掛けて行った娘を迎えに行く父親。ラヴァンの装いはまるでカラックスのそれだった。父と娘の会話を、カラックスはラヴァンに託した。ラヴァンとゴルベワは確か共演したことがないが、ふたりの間にはカラックスとクレール・ドゥニがいる。ゴルベワの死後数ヶ月でクランクインした『ホーリー・モーターズ』は、彼女が新しい人生を演じることを祈るものにもなっているのかも知れない。ラヴァンの言うように、彼女はこの映画のなかにいる。
カラックスは次回どんな映画を撮るのだろう。ちいさな光が見えた気がした。そこにはアレックスではなく、オスカーがいるのではないだろうか。勿論、演じるのはラヴァンだ。
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・シネマカリテ初めて行きました。昨年末オープンしたミニシアター、隠れ家みたいで居心地いい。長く続いてほしいな
・YOMIURI ONLINE|「ホーリー・モーターズ」レオス・カラックス監督…新しい自分を発明
・映画.com|ドニ・ラバンが語るレオス・カラックスとのコラボレーションの変遷
・PICK UP『ホーリー・モーターズ』|UNZIP
04月27日(土)
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