ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
[648598hit]

■『レ・ミゼラブル』
そしてセットの規模とリアルな描写。現実のバリケードがしょぼくて、えっ地味…と思ったのですが、考えてみれば実際はこんなものだったのでしょうね。学生たちの非力さを象徴するものとして虚しさ満点。そしてこれがラストシーンに効いてきます。天界でのバリケードはとても巨大で、ドアを開けてくれなかった民衆が集い、笑顔で旗を振る。彼らの理想を可視化した素晴らしいシーンでした。娼婦街や泥(糞尿)だらけの下水道をはじめとする当時のフランスの街並の汚さ、ゴミくずみたいに殺された学生たちの遺体が目開けっ放しで並べられているシーンにも可視化の底力を感じました。かわいいガブローシュが目開けっ放しで死んでるのがもうね……。ヒューとアンの、昔のデニーロばりの役作りもすごかったです。オープングの囚人、ヒューだとしばらく気付かなかったくらい。おじいちゃんにこんな過酷な労働を…酷い……とか思ってたくらい(笑)。と言えばリアルおじいちゃん(と迄はいかないにしても、精神的にはもうおじいちゃんだよね…)になったバルジャンがコゼットのもとを去るとき、馬車に荷物を揚げられなくなってふううとなってたとこは泣いた……。

全編宗教的な側面が強く、結局生きてる間は試練ばっかりなのよね死後の世界でしか幸せになれないのよねみたいな感じで(自殺したジャベールは天界には行けないってとこもね…彼の迷いこそが人間の魅力だと個人的には思うので。ラッセルが演じてるから(笑)ってだけでなくジャベールには肩入れするわ)観ていてつらいところは多いです。バルジャンは神に許されて、ジャベールは神に罰せられる。神にもいろいろな顔がある。と言えば、バルジャンがマストを担ぎ上げたり、下敷きになった老人を助けるため荷台を肩に抱え上げるシーンはキリストの受難を象徴したもののようにも感じられました。

さて前述のジャベールの最期ですが、っまーこれでもかと言う実写(+CG)で見せてくれました。あの高さ!あの水の勢い!しかもザバーンじゃなくて縁石に激突した後流れに呑まれると言う見せ場になっておりました。舞台版のトラウマを二十年越しで払拭出来た……。

それにしても拷問かと思う程泣かされた。終盤は嗚咽が漏れそうになり声が出ないようにこらえるのに必死で、字幕どころか画面もあやふやに…そうだった、これものっそい泣かされるんだった(またトラウマ)。そんな訳で実はラストシーンの細かいところが見えていない。コゼットが喪服着せてもらってたとか帰ってwebで感想見てまわって知った。バリケードにいたと言うエポニーヌも見逃している…かんじんなところを!えええ〜手放さずだいじにしていた燭台があったとこはちゃんと見たんだけど……確認の意味も含めてリピートしたいよ〜!でもリピートしてもまた泣いて見落とすような気がする。

12月21日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る