ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
[648598hit]
■『ポリグラフ 嘘発見器』
吹越さんがソロアクト以外の演出をするのは初めて。つまり他人を演出するのは初めてだったそうですが、今回の作品は件の映像や小道具の見立て、と言った段取り的な舞台構成の認識を一致させるだけではなく、演者同士が精神的にも身体的にも密なコミュニケーションをとっていないと成立しないものだったように思います。プランを提案した吹越さん、初の他人演出で果敢なチャレンジ。受けた森山さんと太田さんも格好いい。出来上がったシーンの美しさと言ったら!これは是非実際に目にしてほしいです。舞台で観てほしい。吹越さんの作品は体感と言う言葉がよく似合う。
しかし『THE BEE』のときにもひっそり思ったが、身体が露になると東洋人と西洋の血が入っているひとの腰の位置の高さ、脚の長さの違いにはいろいろと考えさせられました…吹越さんも森山さんもプロポーションいいんですが!太田さんの脚の長さが!見とれてしまう程の美しさで!いやでも出演者三人とも、美しい身体だなとしみじみ。
あと森山さんがこれだけ台詞を使うのを観たのは初めてでした。いい声の方ですねー。やっぱり声も身体の器官。そうそう、音響も音楽(鈴木羊さん)も毎度乍ら冴え冴えでした。サントラ出るそうで、楽しみ。
舞台は常に緊張感に満ちていましたが、クスリと笑えるところもありました。『ケベック・シティの観光案内』とか、あとどのシーンだったか、どシリアスなシーンに演歌ぶっこんできてたでしょう?真顔で茶目っ気、吹越さんの好きなところ。前述しましたが、ソロアクトではエグい下ネタが多いけれど、それらを今回のように恋愛における右往左往に置き換えると思わず納得してしまう部分もあり、切っても切れないふたつの繋がりが浮かび上がって面白い。
しかしこうなってくるとルパージュの演出したものはどんなものなのか気になりますね…彼も自ら舞台に立つパフォーマーですし、映像の魔術師と呼ばれる演出家です。ルパージュは芸劇での公演経験もあるし、フキコシ版とルパージュ版同時上演なんていつか実現すればいいなとも思いました。
ちなみに記憶が間違っていなければ、吹越さんのソロアクト初のビデオリリースは1992年、『吹越満 ライブ イン フランス 腹切りカフェ』。ドーヴィル映画祭に招かれたときのパフォーマンスが収録されています。「なんで呼ばれたかわかんないんですけど…僕の芸風、フランスっぽいとよく言われるんですよね」と当時話してました。二十年後、フランスとこうやって繋がるとはなあ。いい話。今度は『ポリグラフ』をフランスに持っていければいいのに!
その他。
・東側諸国についてやマトリョーシカが出てきて、ロシアかぶれ中としてはニヤニヤした
・着いてみれば最前列センター。間近で観られたのは嬉しかったけど、全景をひきで観てみたい!リピートしたい……
****************
極東最前線/巡業2012『ゼロ番地から彼方の空まで』@Shibuya O-EAST
ううう、年の瀬に聴けてよがっだー!
今回三人全員MCがあると言うある意味貴重な…それほど言っておかなくてはならぬ!と言う思いがあったんでしょうね。歌にも演奏にも、そんな切実さ。終演後、外の冷たい風も心地いい。荒野に針路を取るのだ、夜明けを待つのだ。
12月15日(土)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る