ID:43818
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by kai
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■『2012年・蒼白の少年少女たちによる「ハムレット」』2回目
前回書いたように滑舌があまりよくない役者もいるのですが、それでもちゃんと言葉の意味は伝わります。この辺りは蜷川マジックだなと思う。台詞の意味とそれを表現する役割が、どの演者に適合するかを的確に判断し、配置している……。そしてこの作品、役者論、演劇論としての台詞も多いのです。「役者というものは、時代の縮図」「作り事の、絵空事の熱情に全身全霊を打ち込んで、想像の世界に入り込み」「秘密を守れない。何もかも話してしまう」。若い役者たちが心に留め、口にする言葉としても理想的。このカンパニーで『ハムレット』をやることの意義に感じ入りました。

と言えば、その辺りのローゼンクランツの台詞に、今の演劇事情について言っとんのか!てな痛烈な揶揄があるんだけどカットされていたな(苦笑・都の役者たちがどさまわりを余儀なくされた理由)。

そうそう、滑舌悪いとか絶叫多いとか書いておいてなんですが、まっさらのど素人が出演している訳ではないので、破綻はしないのです。若い集団としてのポテンシャルはかなり高い。あれだけ叫んでも喉潰しているひとがいないしね…何げにすごいことです。それはこまどり姉妹が現れるシーンにも感じました。ガッツリ「幸せになりたいの〜♪」に持ってかれてしまうハムレットとオフィーリアですが、彼女たちが去っていったあと、カオスにまみれた空間を一気に自分たちの世界に引き戻すことが出来た。観客もそれを敏感に察知し、すぐに劇世界に戻れた。タフな状況、高い要求に力強く応えている彼らは、単なる「無気力世代の若者」ではありません。

前回は上手側ステージ後方、今回は下手側ステージ前方から観ました。あー正面からも観てみたかったー。隠れていた役者の表情を違う角度から見られる。弦楽セレナーデのシーン、ハムレットとオフィーリアがあんなふうに離ればなれになっていたんだー!と気付いてどわーと泣く。ぎゃーんハムレットに手を伸ばすオフィーリアの表情が悲痛極まりない!なのになんであのタイミングでハムレットの手を握るんだよホレイシオ!なにすんじゃー!ハムレットも手を伸ばしかけてたのにー!はあはあはあ、このときは一瞬小久保くんを恨んだね…いかん、役と中のひとを混同しがちだ。それ程いい芝居だったってことよー。それはともかくホレイシオ以外の全員が退場していくなか、ハムレットの周りだけ時間が止まっているかのように見えた。その静謐な立ち姿、叔父の真実を眺めやる光景の悲痛さ、美しさ。素晴らしかった!

フォーティンブラスがハムレットの遺体へ敬意を示すシーンは、2003年版の小栗くんのプランが踏襲されていました。「休憩時間、遊びで演じていたらこの役に抜擢された」と中西くんが言ってましたが(後述の『人生教室』参照)、何それ小栗くんのものまねでもしてたの…?(笑)

以下おぼえがき。

・アクリル板越しのレアティーズとオフィーリア、クローディアスとレアティーズ、ハムレットとオフィーリアは、視覚的にも図式的にも興味深かった。親愛の情を手を差し伸べ合うことで表す兄妹。誓いの挙手、それに応じる身分の違い。そして手を伸ばしても伸ばしても壁に阻まれ、心が届かない思いびと。いやホントこれは素晴らしいセットだった

・ラストの楽屋風景、川口くんと深谷さんが談笑しているのが見えて「わあふたりとも生きてるー、笑ってるー、よかったねええ」なんて思ってしまったよー(バカ)
・土井さんもパーカーに着替えてかわいい表情。そだよホントは若いんだよこのひと…じょ、女優!
・緑のジャージのホレイシオ(笑)
・ホレイシオ、重心を低くしたときにきちんと腰が入りポーズが決まる。演じた小久保くんのプロフィールには「和道流空手二段」の文字。なんか納得した……
・いやーそれにしてもハムレットとホレイシオの衣裳よかったわ。ハムレットの衣裳とか、フツーにヨージの服みたく着たまま出歩けそうだよ。ブーツも格好よかったー。ホレイシオのボトムもタイパンツみたいな幅広で、上がジャージになっても似合う(笑)
・こまどり姉妹、本日のお着物は黄色。土曜日は黒を基調としたものでした。検索してみたら桃色の日もあったそうで、一体何種あったのー!


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02月28日(火)
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