ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『天使は瞳を閉じて』
そしておこがましいけれど、この作品を書き上げた鴻上さんの年齢をとうに追い越した自分が観るこの世界に、以前観たときとは違う感情が多々浮かんだことも嬉しいことでした。その感情を引き出せたのは、役者さんの力によるところも大きいと思う。マイナーでヘヴィーなものは売れないと言われ続けたケイに、マイナーでヘヴィーなままでいい、それが受け入れられる場所は必ずあると声を掛けたい。反面、それだけ多くのひとに受け入れられることに飢えていたケイの心情を思うと軽々しいことは言えない。いやでもそこらへんは、図太くなったオバちゃんとして今ならおせっかい出来るかも(笑)。見たくないものを見てしまった人間たちに慟哭する天使の肩に手を置き、優しく抱きしめる存在はいないのだろうか?神さまは行方不明になっている。あの天使の姿を、決して瞳を閉じることなく見つめていたい。日々壁に向かうアキラの底抜けの明るさの裏にあるものは何だろう?終盤、マスターに“桃の缶詰”を投げた彼の姿にその片鱗を見た。あんな若者は、いつの時代にも、どこの世界にも存在する。
初見だったのにガッチリ面構えと声が印象に残る役者さんが多かった。名前も憶えたい……。ぴーとさんもツイートされてましたが配役表はあった方がいいと思います。パンフを買って見てね、と言うことだとは思いますが、あの役をやったあのひとは誰?と思ったときって、客電が点いた瞬間、一秒とかけず知りたいものなのです。ロビー迄行ってパンフ買って開く迄の数分すら惜しい。その数分の間に世界が終わるかも知れないしね(今ならすごい実感がわくわ)。
そしてマスター、大高さん。『ごあいさつ』の最後に「『虚構の劇団』に、『第三舞台』の大高洋夫を迎えました。」と言う文章を見付けて、開演前からジーンときていました。『ベルリン・天使の詩』で空中ブランコ乗りに恋をした天使が人間になったその後。今の年齢になった大高さんが演じるマスターは、より老成していて、より達観していて、だからこそより惑いが見られる人間。若者たちを見守り、人間たちを愛してやまないが故に一線を越えてしまう元天使でした。観ることが出来て本当によかった。
20年振りであっても、登場人物たちが身近な友人のように思える。そんな作品に出会えたことに感謝しています。
08月10日(水)
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