ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『クラウド』2回目
・自分の人生を改竄することについて。昇華と言ってもいい。ある劇作家のことを思い出した。ブログから奥さんの描写が消えた数ヶ月後に彼が発表した作品は、妻を理不尽に殺された男が、復讐をするべく犯人を探し出すと言うものだった。主人公は劇作家本人が演じていた

・ブログのことがひっかかっていた。今回のストーリーがフィクションであることをひたすら祈った。舞台の出来が素晴らしかっただけに尚更だった。鬼気迫るもので、痛く、腹の据わった作品だった。そして主人公を演じるのは、劇作家本人しかいないとも思えた程の熱演…いや、まるでとりつかれたかのような演技だった。演技とは思えないくらいの

・彼が離婚したと聴いたのはそのあとだ。奥さんが亡くなっていなかったことに正直ホッとしたが、ああ書かずにはいられなかった彼の心境を思い、観劇してから随分経っていたと言うのに涙が出た。劇中の夫婦は仲睦まじく、ときどきケンカをし、日々を穏やかに暮らす幸せにあふれたふたりだったのだ

・忘れることは出来ないことと、どうつきあっていくか。これはこれでありなのかも知れないと思った。再演はないだろう作品になってしまったが、本音を言うとまた観たい。今でも忘れられない作品

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と、まあこんなことをつらつら書いてweb上に放り投げている一方で、普段からスズカツさんスズカツさんと言ってまわっている私を可哀相に思ってか、友人が『クラウド』の感想を聴かせてくれたり、昔からザズゥシアターを観ている方がメールをくれたりします。それは私の記憶のなかにだけ残る。

本人の与り知らないところで『クラウド』についての言葉が交わされている。それこそ雲のように、言葉たちはその場でふわふわと消えていく。クラウドにもサーバにも残らない言葉たち、ひとの思い。発表された作品は、観たひとの数だけヴァージョンがある。残したいから必死で音韻をweb上に投げる。「誰かいない?」でもそれも、必ずいつか消えてしまう。それでいいと思う。

06月28日(火)
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