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I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『欲望という名の電車』2回目(東京公演千秋楽)
映画版(エリア・カザン監督)では、ステラは赤ん坊を抱きしめて「もう二度とここには戻らない」と家を出て行くが、元鞘に納まるのではないかなと言う印象も残る。今迄が今迄だし、ここでの暮らしはこれからも続くと暗示させられるのだ。鈴木演出でもステラは家を出ていくのではないかと思わせられるのだが、こちらは本当に出て行くんじゃないか、と言う予感が強い。現代的な演出だったとも言える。
松尾さんの演出は全くのト書き通りだった。そう見えた。この「満ち足りた感じ」と言うト書き、ずっと引っかかっていたのです。うっすら気付いてるけど気付いたら人非人かなーみたいな。ここが今回ハッキリしました、と言うか自覚せざるを得なかった。厄介者が出て行ったが故の安心感なのです、これ。実の姉妹でも、厄介払いが出来たことにホッとしているのです。残酷だが真実だ。ぬぬ、ステラ…ブランチに勝るとも劣らぬ少女で淑女で処女で娼婦だ。やっぱりこのふたりは姉妹だわ…鈴木砂羽さんのステラは色気、強さ、はかなさが同居するおんなのなかのおんなだった。最高。
ミッチとブランチの会話、ステラの最後の行動。この二箇所、今回すごーーーく明確になった。松尾さんの演出で観られてよかった。この作品、ブランチとスタンリーは勿論ですが、ステラとミッチの解釈の違いを見比べるのがすごく面白いのです。個人的にもこのふたりのキャラクターは大好きなのだ。
2002年上演時に気になった箇所があった小田島恒志さんの訳も、細部が更新されていてより理解が深まりました。「おねえさん」の部分は変わっていなかったけど、アランはゲイだったってくだりはきちんと話されていた。その他プログラムにも解説があったので、これを読んでからリピート出来たのはよかったです。しかしステラがブランチのことを「おねえさん」と言うのはやっぱりひっかかる(まだ言う)。
ヨタロウさんの音楽もよかった。閉幕の曲は「レモンティー」だった(!)これは松尾さんの選曲なのかな。ここでこれを持ってくるってのがまたすごい。
カーテンコールは一度だけ。拍手が鳴り止まないところ、松尾さんの「えー、カーテンコールはないのです。節電とお客様の安全を考慮しております」とアナウンス。笑いとともにもうひと盛り上がりの拍手があり、閉幕となりました。
稽古時から本番迄、困難なことも多々あったと思います。舞台上の役者さん方の真摯な姿、秀逸なスタッフワークを目の当たりにし、この時期この作品をこの座組で観られて本当によかったと思いました。これから大阪と名古屋公演。無事大楽を迎えられますように。
05月01日(日)
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