ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『ろくでなし啄木』
藤原くんは老成から程遠い啄木を演じます。無邪気で、世を拗ねて、考え得る“最低”はあの結果。受けの芝居も抑えの芝居も巧いね…しかしこのままいくのか?いや何かある筈…これで終わる筈がない……なんて二幕の途中迄思っていたのですが、最後にこれぞ藤原くんの真骨頂!と言う感情の爆発を自在にコントロールしているかのようなどテンション芝居がきました(この辺り、稽古を観ていったうえで三谷さんが書き換えたところらしい)。ホントこのひとの語りは強い。もの書きの考える最低は結局その程度かと言われ、憎まれることで自分を破滅に追い込もうとする画策は躱される。しかしそれが、彼に覚悟をもたらす。その心情の変遷を、炎が立ち上がるかのような激情、引き潮のような達観といった怒濤の独白で魅せてくれました。

このモノローグも、三谷さんのものとしては珍しい。演出面でも新機軸を意識的に提示していたように思います。転換は暗転なしでどんどん見せて、襖の開閉で場所と時間の移動を表現する。役者が客席に向かって語りかける。等々。エロティック・サスペンスと銘打っていたこともそうですね。藤原くんが三谷さんに「書いてくれ」と言わなかったら実現しなかったこの作品、そして三谷幸喜生誕50周年の第一弾。幸先いいスタートです。

01月12日(水)
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