ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『聖地』
演出によって浮かび上がるものの質感がかなり変わる作品。今回この演出で観られたことを幸運に思います。ラストシーンに出て来るラジコンのヘリコプターも、恐らく戯曲の隙間を縫った蜷川さんのアイディアだと推測されます。言葉にすると陳腐ですが、魂の乗りものと受け取りました。臓器もむしりとられ、居場所もなくなった老人たちは肉体を失っても、どこかへ飛んでいけるのだ。そう思わせてくれた蜷川さんに感謝。

松井さんの台詞術も見事でした。登場人物は9割が老人だが、所謂“お年寄り”な口調は書かない。むしろそれを逆手にとって、ホームの様子を見に来た警察官の目を欺く時に「笑え!としよりらしくしろ!」と腰を曲げ、「なんですかなあ」なんて言わせる。これには笑い乍らもハッとさせられました。“お芝居”のいやらしさを見抜いてる。あとキノコちゃんの口調な…これ素晴らしかったわ(笑)「〜キノ〜!」ってね。あかんまわるわこれ…唯一のヒット曲として劇中流れる歌もすっごいまわる、今唄える(笑)。

生きている限り、老いには必ず向きあう。歳をとらないひとはいない。そして死ぬ時は絶対にたったひとりだ。臨終の時に思い出す光景、思い出すひと。必ず通る道。生きているひとなら感じるものが必ずある作品です。

09月18日(土)
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