ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
[648835hit]
■塚本晋也お蔵出し『海獣冒険譚』(1999年)
「大変でしたね…会社が芝居をやるのを許してくれてたんです。社長がそういう、何か面白い動物を飼ってるのが好きってタイプで(笑)『うんいいよー』って。でもイジワルで、芝居の稽古が大詰めの時に海外ロケの仕事入れるんですよ(笑)で…その時はもう、ダメでしたね。もうつっまんねえ〜芝居になっちゃって。一度も通し(稽古)が出来なくて、本番で初めて通したって有様で。音楽も、クライマックスのいいシーンで、最高に盛り上がった箇所から流す筈が、前奏の最初っから流しちゃって(爆笑)役者も場を持たす為にうう〜とかって変な動きとかしてごまかして(笑)もう全然ダメ。CMの方も、納得いかないものが出来てしまった。あれでふたまたはダメと知りましたね。それからは必ずひとつに絞る事にしています」
●その後映画に復帰し今に至りますが、8mmで始めた作品から、製作費も増え、16、35mmとフィルムのグレードも上がっていきます。それに関して。
「8mmとか16mmの頃は、フィルムをじーっと見つめて『これ35(mm)になんねえかなあ』とかって思ってましたけど(笑)『1コマずつ撮れば安くあがるかもしれない』とか(笑)。作品を作る毎にフィルムのmmが上がっていくのは、すげえ嬉しいステップアップでしたね」
●モノクロ作品に関して。
「『鉄男』は白黒で行こうと決めていました。8しか持っていなかったと言うのもあり、最初は8で撮って16にグレードアップする手法もイケるんじゃないかと思って、デレク・ジャーマンが実際そういう作品を撮っていたので、確認の意味でジャーマン特集を観に行ったんです。で、観て『よし、いいぞ』と思ってたんですけど、その特集で16の白黒作品も上映されたんですよ。その色が良くて…粒子が綺麗と言うか、あの、白黒独特の銀色みたいな色が…非常に良く出ていて。で、我慢できなくなって16を買っちゃったんです(笑)。白黒と言っても、僕は白黒も色だと思っているので、例えば『鉄男II』では青と赤、と言う様に基本の色を決めるんですが、それが白黒になっただけなんですよ」
●都市を作品のテーマにする事について。
「例えば深作(欣二)監督だと戦争、若松(孝二)監督だと闘争、崔(洋一)監督だと民族的なもの、と確固たるものがある。でも僕には、世代的にそういうものがないんですよね。東京で生まれ育ったし、都市とか高度成長期とか、それしかないんです。そんなのをテーマに撮っていいもんかなと思ってたんですが、『鉄男』が…あれサイバーパンクとか言われてるけど、僕はエロ映画のつもりで作ってたんですけど(笑)あれの…肉と鉄が有機的にぐちょぐちょになっていく感覚って、僕ら世代の感覚なのかなって。昔の…『サイボーグ009』とかって脳ミソが生身、身体が機械って、かっきり分離してたでしょう。でも今はぐちょぐちょになってる…『TOKYO FIST』にしても、ボクシングって非常に…スポーツったって殺し合いの様なもんですから。リングで人殺しちゃっても罪にはならないそうですからね…そういう、死生観が稀薄になっている現代の都市にもこんな世界が同居しているって言う所も僕らの世代ならではなのかなと。それが作品として成り立っているかなって」
●『双生児』では、忌み嫌っていた貧民窟へ雪雄が外診へ行くシーンで終わります。この他にも塚本監督の作品には割と倫理的なものが感じられるのですが?
「そうですねえ、僕は結構倫理的な人間なんですよ。『BULLET BALLET』は銃をテーマにした映画ですけど、銃器にはいまいちハマれなかった。持ったら結構ハマるんじゃないかと思ってたんですけど、どうしても倫理的な気分が出てきちゃうんです。例えばナイフとかは普段台所で料理とか作るのに使ってて、泥棒とかが来た時に仕方なく使うって言うか(笑)そういうものでしょ。でも銃は最初から人殺す為に作られたもんですからね。撮影に入る前に、撃ちに行ったんですよ。最初は凄く緊張したんですよ。助監督と『ついにこの時が来たか〜』とか言って(笑)ドキドキしながら撃ったんですけど、それは最初の1発2発で、あとは馴れちゃう。あっけない。これが人を殺す道具なのかって…うん、ハマれなかったですね」
●と言う事は、『BULLET BALLET』は「銃はいけませんよー」って言う映画…(爆笑)。
[5]続きを読む
05月03日(月)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る