ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『FROST/NIXON』初日とか
舞台の決め手は、ニクソン役北大路欣也さんの圧倒的存在感。3階席から観たのにもう釘付け。観る前はわーいいぬのおとうさんだよなんて思っていたが(ソフトバンクから花が来ててウケた)、始まったらもうニクソンにしか見えません。前述の、酔ってフロストに電話をする前迄はほんっとにくたらしい。衣裳やカメラアングルを妙に気にするところと言い、のらりくらりとダラダラ喋り本質に迫らないところと言い、嫌な政治家そのもの(笑)。フロスト役の仲村トオルさんがイラッイラ来てるんですが、もうそれも演技に見えない(笑・そこが仲村さんのすごいところでもある)。しかしそこには、TV映りが悪かったため選挙に敗れた経験や、周囲が敵ばかりの中、家族だけが味方でいてくれていたと言うことをちょっと自慢したい気持ちが見え隠れする。それを繊細な声のトーンやアクセントの変化、リズムで表現する。

インタヴューがオンエアされ、表舞台を去ったニクソンがフロストと面会し、プレゼントされた靴に喜ぶ姿は少年のようだった。しかしフロストが去り、ひとり残ったニクソンが箱から出した靴を見詰める後ろ姿―ちいさな背中は、もう第一線に戻ることはないであろう老人のものだった。一瞬にしてニクソンの一生を見たかのような錯覚に襲われる。名優と言うのはこういうひとのことを言うんだなあと素で納得。

仲村さんも自分のブレーンに見せる陽気な姿と、ひとりの時に見せる激情のコントラストが見事。皆を安心させようとしてか、一見ちゃらんぽらんなんだよね。イギリス人的な皮肉もあるのだろうか。北大路さんと対峙しても一歩も退きません。序盤はニクソンに「こんなテレビショウの司会者にやりこめられるものか」と思わせるような虚栄心の強さと野心が見え隠れしますが、最後のインタヴューの時には風格さえ漂っていた。そしてある意味“勝った”のに複雑な色を見せる表情。このひとの舞台ハズレないわー。

フロスト陣営のイギリス人プロデューサー、ジョン・バートを中村まことさん。導入好き放題(笑)もう野放しなんだねこのひとは…しかしあんなアホな登場の仕方しといて、段々え、このひと実はやり手?と思わせられてしまう。そういうところは流石です。同じくフロスト陣営のアメリカ人はアツヒロくんと、ベテラン記者ボブ・ゼルニック=安原義人さんのふたり。一触即発のやりとりに緊張感がありました。ニクソンの首席補佐官ジャック・ブレナン大佐は谷田歩さん。そうだこのひと蜷川さん演出の『タイタス・アンドロニカス』で観たよ!高橋洋くんとペアのバカ息子役だったよ!(笑)いやはや気付かなかった、役によって印象変わるわー。がめついエージェント、スイフティ・リザール役は中山祐一朗さん。なんだあの髪型は。にゃきゃやまさんとまこつさんはどこでも自由だねえ(笑)。

ミニマルで機能的な二村さんのセット、明度と彩度で色彩を表現する原田さんの照明も素晴らしかったです。原田さんの青白色大好き。横川さんの音楽もサントラ出してほしいくらい。

次回はスーツ萌え〜の話でもしようかな(笑)。パンフレットで皆さんが着ているスーツはHUGO BOSSだそうです。

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芝居の前にこの2本。

■『John Squire: Negative Afterimages』@Tokyo Hipsters Club
ジョン・スクワイアの個展。ポロックじゃなくてデュシャンみたいになってた。いい雰囲気でした

■『WITHOUT THOUGHT VOL.10 BOX』@EYE OF GYRE
表参道のMoMAが入ってるビルのギャラリー。いつもオモロいものをやっている。この日は深澤直人さんのワークショップ作品展。
おかしのパッケージばっかりやってるひととかいる(笑)木目柄の折り詰め箱を組み立てなおすとそれがお寿司載せる板(紙だけど)の台(あれなんて名前なの?あれだよ下駄みたいなやつ!)になるのが面白かったー

11月18日(水)
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