ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■阪本順治×宮藤官九郎『映画に出来るコト』
宮藤●(笑)ああーそれはありますよ。舞台だと机をかたさなきゃいけないとか、舞台転換がもどかしい時もあります。毎日出来が違いますしね、役者の調子もあるし、観客の調子もあるし。自分も出ているから役者の生理もわかるんだけど、舞台上にいて、役者にこっちに動いてほしいのにそうならないってのはある。胃が痛くなります。舞台って極端な話、客が騒ぎ出したらこっちはお手上げじゃないですか。客席の反応がダイレクトに返ってくる
阪本●舞台は、装置とか、昔のテント芝居とかでテントが開いて外から迫ってくる感じとか、どう驚かせてくれるんだろうと期待して観に行きます
宮藤●映画監督って怖いイメージがあって。いっつも怒ってるみたいな。(僕は)威圧感がないからダメなんじゃないかな
阪本●そうかなあ、僕は舞台の演出家の方が怖いですよ。灰皿投げるーみたいな(笑)
(やっぱ蜷川伝説は根強いね(笑))

宮藤●音楽すごくよかったですね。いいなーと思った
阪本●最初の『どついたるねん』の頃からやっているんだけど、脚本が出来た段階でもう音楽を依頼するんです
宮藤●えっ、そうなんだ!
阪本●助監督時代に、編集終わって、ギリギリに音楽家に観て貰ってすぐ音楽つけて、時間がないからダメ出しも出来なくて…ってのを見てきたから。脚本だけを読んで、そのイメージから音楽を作って貰う。それを聴いてこちらが感化されることも多いです。カット割りとか、かなり変わる。現場で音楽を流して撮ったり。今回もアクションシーンで、もっとカット割りをバンバンバンって細かくして撮ろうと思っていたシーンを、音楽を聴いてゆったりしたものにしたりとか。影響は大きいです
(この間クドカンは「はあー、はあー、そうなんだ」とひたすら感心)
宮藤●でもそれって、すごく信頼関係がないと…
阪本●そう、だからまず誰に頼むかってのが重要
宮藤●今回は布袋さんで。もともとそんなに音楽をずっと流しはしないですよね
阪本●今回は多い方ですね。布袋くんとは二度目ですが、普段より多く音楽を使っています。『顔』では4シーンくらいしか音楽ないですしね。脚本書く時も音楽は凄く重要で、この曲でこのシークエンスってのが先に浮かぶんですよ。で、かけながら書いたり。曲に左右されることが多いので、よく言われるように僕の脚本は破綻してしまうんですけどね。シーンの断片から浮かんで書いたりするので
宮藤●あー、それはありますね。演出する時も「この曲をこんなシーンでかけたい」って先に浮かぶのはある

(観客からの質問「フィクションとして映画の中でつく“嘘”」について)
宮藤●もうそれは個人の好みだと思うんですけどね。格好いいとか、格好悪いのが格好いいとか。『GO』で平田満さんが焼肉屋に来る話、あれは僕にとっては本当なんです。あるでしょ、お店で有名人に遭ったりすること。あれは絶対入れたかった
阪本●『KT』はある意味時代劇ですから、時代考証に嘘があってはいけない。車種とか勿論当時のものを探しましたし。でも、当時の流行の服装―ベルボトムとか、ああいうひとがポッと道歩いてたりしたら笑っちゃうでしょ?だからそういうのは入れないようにした。30年前にあったことだけど、昔の話だな〜と観てほしくはなかったですから
宮藤●最初に『KT』を観てこわかったって言いましたけど、それは昔話じゃなくて「今でもあり得るな」ってこわさだったんですよ。今観てもこわい題材でした
阪本●実際どうだったかはわからない話ですからね。資料をどんなに見ても、載ってないものは載ってない。行方不明になっているひともいるし。30年くらい前のことだから、生きている当事者も多いし、家族もいますから皆喋らないですね。関係者にも随分観て頂いたんですけど、皆口を閉ざしていて…「違う」と言ったら「じゃあどこが違うの?」って逆に聞き返されちゃうから。でも、この妄想は正しいかも知れない。そういうことが実際にあったのかも知れない。何十年後かに「ここが違っていた、ここが正しかった」ってことが判るかも知れない。その時にこの作品がまた上映されて、いろんなきっかけになればいいなと思います


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06月13日(木)
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