ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『欲望という名の電車』
昨年の篠井英介ブランチ・鈴木勝秀演出では、最後に戯曲のト書きにはない(ないだけに演出の意図が問われる)演出があった。鈴木版では、ステラはスタンリーの手を離れ退場する。ユーニスもこれに続く。蜷川版では、泣きじゃくるステラに、ユーニスが泣いている赤ん坊を渡す。赤ん坊はステラの腕の中で泣きやみ、ステラも泣くのをやめる。そこをスタンリーが抱き締める。鈴木演出だと、ステラは家を出ていったのではないかと思わせられる。この違いは面白かったし、興味深く観た。

しかしこの戯曲は大好きな戯曲なだけにハードルも高いのだ(笑)と言う訳で難癖をつけると(ごめんホントにこれにはウルサイのよ)、大竹さんと寺島さんが上流階級出身に見えない(寺島ステラは健康的な美しさはあったが儚さが足りなかった)、堤さんが巻き舌過ぎる(粗野な男を演じるにしても…映画版『殺し屋1』の高山みたいだったよ…)、ミッチは「腹もひきしまって」と言ってる割に腹が出ている(ご、ごめん六平さん…)、幻聴音響は面白かったがあまりに続くと違和感が出てくる、大石継太さんは何でもこなす器用さと度胸がある好きな役者さんだがスティーヴには合わないのでは(声が高めなのも今回はマイナスポイント)…てなところか。しかし六平さんはオーバーオールが似合うなあ、新発見。そして髪がある六平さんは貴重です(ヅラだけど)。一瞬誰かわからんかった。そういえば六平さんは篠井スズカツの『欲望〜』を観に来ていたなあ。

しかしこの1年でこんなにレヴェルの高い『欲望〜』を2本も観てしまうと、今後はよっぽどのメンツが揃わないと行く気がしないかもな。10月にク・ナウカがやるらしいんだけどどうだろう。…て言うか篠井さん、再演お願いしますよ。上演権の問題はクリアしたので、ライフワークでコンスタントに上演して貰いたいものです。勿論スズカツ演出で。


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●余談1。東京千秋楽と言うこともあり客席も豪華でした。串田和美さんやらSABUさんやら堀部圭亮さんやら。ニナガワカンパニーダッシュの面々も来ていました。難波真奈美さん、近くで見たけどすごいほっそくてすごいかわいい。串田さんは『〜あさま山荘』で観たばかりだったので「うわ〜スクリーンで観たひとが〜」とちょっと感動。蜷川さんとロビーで談笑されてました。堀部さん、上演中くらいは帽子をとりましょうよ(笑)通路を役者が行き来する、客席多用の演出だったので一幕目から目について「帽子とれよ〜誰だよ〜」と思ってたら堀部さんだった…。それにしてもSABUさんは格好よかった。オシャレで。座っても頭ひとつ出ていた。後ろのひとは観にくかったかも知れないね(笑)休憩時間、必要以上にキョロキョロしてしまいました。

●余談2。多少元気が出て足取りも軽く家路へ…の筈が、代々木駅の火災で山手線全線ストップ、普段の3倍近くの時間をかけて帰宅。よろよろ。

05月30日(木)
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