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西方見聞録
by マルコ
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■欲望という理由
おKさん@4歳児、食欲盛りのお年頃。いつも台所のおやつ箱の中身を虎視眈々と狙ってる。このごろは1号さんがランドセルに入れて持ち帰る学童保育所のおやつを狙って帰宅と同時に1号さんのランドセルをあさる。そんなおやつ食欲∞の彼女にも一応「ご飯前のおやつは禁止」というあるんだかないんだかわからない非常に緩やかな規則はある。
しかし最近はそれも守れない。マルコが鬼気迫る勢いで夕食の準備をする6時半過ぎの台所におKさんは「おやつ箱」を狙って侵入する。
見つけると「ご飯前はおやつだめでしょ!」と一喝するが、こんどは「よ〜しこっそりたべちゃえ!そおっとそおっと」とつぶやきながら胸の前で手を忍者の印字に組み、忍び足で移動する「忍者歩き」でやってくる。
たいていは事前で発見して、TVのまえに戻るかお絵かきしながらまっとれというか、帰宅したあめでおさんが取り押さえてくれたりするのだが、たまにあめでおさんが帰宅したところでマルコとあめでおさんがなんかしゃべってる間におやつ奪取におKさんが成功することがある。
発見されないうちにと、すごい勢いでおやつを口に入れ、もがもがたべてるおKさんを発見して「だめだっていってるでしょ?どうしてそんなにいうこときかないの!」と怒るとおKさんは涙を振り飛ばし口いっぱいにせんべいをほおばりがきごき噛み砕きながら
「だってKちゃんおやつが大好きなんだよ!」
と絶叫する。
「でもご飯までは我慢する約束でしょ?すぐご飯になるのに」
というと
「だっておやつはすごくおいしいんだよ!」
とさらに絶叫する。
おやつはおいしい、だからだいすき、だからたべる。
おKさんの心のなかで見事に完結した美しい理論である。この脳幹が発する原初的な欲望に恥ずかしいほど忠実な君。好きなものはほしい。ほしいものはほしい。ほしいから手に入れる。そのプリミティブな行動原理が成長とともに社会と折り合い、君の志す道を驀進させてくれることを母は望む。また、間違っても社会と折り合わない方向に進まないように母は祈る。
11月16日(木)
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