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西方見聞録
by マルコ
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■それはちがうよトットちゃん
 なんだか古い話になって恐縮でございます。ちょっとこのごろ無意味に忙しかったので日記滞っておりました。

 さてマルコの愛読日記のうちの2つ
いいことあった日記とMagMell Diaryであいついでユニセフについて取り上げておられました。10月の末のことです。マルコ的にいろいろ思うことはあるのだけど一番、「ううむ」と思ったのは両日記が取り上げていたブログ(このブログはリンクはりません。こういうまことしやかなトンデモ情報普及に荷担したくないので)中の文章で

>頂いた募金は一円も無駄にしないで現地に届けたい(黒柳徹子・談)

の箇所。

 それはまあそうなんだけど、それではいけないのだよ(←結局どっちだ)。トットちゃん。という思いが喉元までせりあがってまいりました。

 トットちゃんの言説は市民活動に対する無理解な人に良く見られる傾向の言説でございます。ちょっこりこんな世界の片隅の日記で批判させていただきたいと思います。

(間違いその一) 事業費と管理費について
現地に一円でも多くって?
えーっとお金だけもってったらなにもかもうまく行くと思うのは大間違いです。お金が確実に必要とする人に届くにはそのお金を流すシステム作りが肝要です。で実際に「被支援者が裨益するお金の部分」(一括して事業費)と「その事業を円滑に管理するための人件費や輸送費や募金を呼びかけるための広報費、事業がうまく行ったか次回への反省点はどこか確認するための事業評価費等などの部分」(一括して管理費)の2種類のお金が必要になるわけです。管理費にしっかりお金を取らないような団体の活動は信用してはなりません。日本における市民活動への寄付行動を見ているととてもこの事業費偏重、管理費軽視の傾向が見て取られます。欧米などの市民セクターが発達しているところでは寄付の50%管理費とかは当然です。それに納得して市民は寄付をするのです。(北欧では70%管理費とかそういうところもたくさんあるのですが、まあそれはちょっとやりすぎのような気もします。)
日本の寄付者の感覚として管理費が10%、20%であってもゆるさん!みたいな傾向があり、この傾向を体現し、助長しているのがトットちゃんの呼びかけなのであります。政府のODAで管理費と事業費の析出をさせて御覧なさい。ものすごい管理費だと思いますよ。あと国連とかもすごそうですね。でもそっちには文句を言わずに莫大な税金を差し出しているのに、民間への寄付行為となると寄付金への過剰なまでのオーナーシップを発揮するのはなかなか面白い日本人の心性だと思います。

(間違いその2)民間の国際協力機関にドネイションする意義について。

 先進国の人間が国際協力NGOに資金提供する目的と言うのはなんでしょうか。いっぱいあると思うけど私が重要と思うのは主に次の2つのことです。

1)北から南へのオールタナティブな資金の流れを作り出すこと

2)NGOにアクセスすることで南の情報が北側に伝わり、その情報をもとに南の状況を改善するために北側市民として出来ることを考えるきっかけにすること

だと思います。2)の方は一般には開発教育と呼ばれています。「北側市民に出来ること」というのは例えば「消費者として世界経済ひいては南の国に与えている影響に気付き、良い消費を行うことで、南北の不均衡を是正する」。あとは「定期的な寄付行動を行うこと」。また「そうした自分の知った事実を周囲に伝えていくこと」。なんかでしょうかね。

で、日本ユニセフ協会という日本の民間NGOへの寄付行為について考えると、日本ユニセフ協会は「2)の開発教育」に関して大変に優れた団体なのです。このページを見てください。学校の先生なんかが途上国の状況を話す時このページはすごく頼りになります。


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11月12日(土)
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