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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■松茸の露



 男子トイレに設置されている小便器の前に立つといつも思うことがある。それは便器の手前の床がたまに濡れていることである。誰かの尿の上を踏んづけたくないのでオレは必ず濡れてない小便器を利用するようにしているのだが、たとえばその男子トイレに設置された3個の小便器の足元の床すべてが濡れている場合がある。そこでオレは思うのである。どうしてそこが濡れるのか。

 便器にしっかりと近づいて排尿する場合、尿は全て便器の中に落下するから他の場所にこぼれようがない。しかし、便器から少し離れて立ったとすると、勢いを失った最後の方の尿は直下に落下するわけで、それが真下の床に落ちるのである。

 床だけではなく、その尿は自分の靴の上にも落下するだろう。便器に近づかないで立つということはそのようなリスクもあるわけである。

急ぐとも 心静かに 手を添えて 外にこぼすな 松茸の露

という短歌がある。たまに居酒屋のトイレの所に貼ってあったりする。「松茸」というのは男性性器のことを遠回しに言ってるわけだが、なかなか風情のある短歌である。

 洋式便器に向かって立ったまま排尿すると、周辺にかなりの尿が飛び散るらしい。そういうわけで最近は「座ってオシッコする」男性が増えているという。尿が周辺に飛び散るというのは通常の男子トイレでもあるわけで、そう考えるとオレが「足元が濡れてる」ことを気にしているのは些細なことかも知れない。

 男子トイレの小便器に近づかない理由として、便器や尿に衣服が触れるからだということも考えられる。確かに近づきすぎると尿の跳ね返りのしぶきが衣服にかかりそうである。それを恐れるならある程度距離が必要なのである。そこは便器の方も工夫して「跳ね返らない素材や構造」にならないものだろうかとオレは思うのである。

 「尿が外にこぼれる」という問題を100%解決できる男子トイレがあるとすれば、それは小便器のところに小さな穴が空いていて、その穴にペニスを突っ込んで排尿するという仕組みしかないだろう。しかし穴の内部や周辺に直接尿やペニスが接触することで不衛生極まりないし、もしかしたら性病の感染が起きるかも知れない。そこにアタッチメントを装着して毎回使い捨てにするならその問題は解決できるがコストがかかりすぎる。どこの世界にオシッコ一回につき100円とか負担する男がいるだろうか。

 そんなくだらないことをあれこれと考えてしまうのだが、尿を便器の外にこぼすと掃除の人たちが大変である。そういうわけで少なくともオレは絶対に便器の前をぬらさないようにと慎重にオシッコしようと思うのである。オレの書いたこと、男性諸氏はわかってくださると思うのである。


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04月18日(木)
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