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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■北野高校と生野高校



 高校の学区制は大学区制と小学区制のどちらがいいのか。これはその学区の規模を考えるとなかなか微妙な問題である。和歌山県のように端から端まで行くのにものすごく時間がかかるような県もあれば、大阪府のようにどこに住んでいてもよほどのことがない限り通えるような地域もある。だから一概にこれが正しいとは言えないわけだ。

 大阪府は橋下徹が知事となって従来の学区制がぶち壊され、大阪中の秀才が橋下徹の出身校である北野高校に集まるようになった。その結果、北野高校ではなんと卒業生357人の規模でありながら、218人が難関10国立大(旧帝大と一橋、東京工大、神戸大)に合格するということになったのである。10年間に難関10国立大の合格者数を倍近くに伸ばしたのである。

 大阪府は南北格差が激しい。淀川よりも北と大和川よりも南では全く違う。大阪府の公立高校の中でトップ10と呼ばれる10校のうち、淀川よりも北にある公立高校のすべてが躍進したのに対して、大和川よりも南の地域にある高校は大きく実績を後退させた。生野高校や岸和田高校では現役で京都大学に入れるようなレベルの生徒がほぼ入ってこなくなってしまったのである。

 受験秀才の数は有限である。大阪府の高校生の中で現役で東大・京大に入れるような賢い生徒の数というのは毎年限られた人数だけで、普通の生徒をむちゃくちゃ勉強させて鍛えたところでそこには到達しない。普通の素質の人間が努力して届くレベルには限界があるのだ。それよりも上を目指す場合はなんらかの遺伝的要因や環境要因に恵まれてないといけないとオレは思うのである。そして今は貧富の差という要素が否応もなく加わってくる。その状況下で北野高校が京都大学合格者を大きく増やしてるというのはどういうことか。それは本来他の高校に行くはずだった生徒を奪い取ってるだけである。FAでいい選手をかき集めてるどこかの金満球団みたいなものであって、その高校の教育力ではないのである。

 受験秀才を各学校に配れば、それぞれの生徒たちが目の前の秀才を見て発奮する。そして競争意識が芽生えるし、その優秀な生徒を教育・指導しないといけない先生方にも緊張感が生まれてよい効果が発生するのだ。しかし北野高校一校に囲い込んだらその効果が起きなくなる。

公立高校の中でそれまで現役で京都大学を目指せる学校が10校あったのに、上位校ができる生徒を囲い込んだために5校に減ったということが起きればそれはよいことだろうか。オレはそうは思わないのである。それは多くの高校生にとってかなり不幸なことだと思うのだ。

 オレが卒業した1979年、生野高校は輝かしい進学実績で北野高校に肉薄した。オレ以外にも多くの生徒が現役で京都大学に進学し、文系で学年トップの生徒は東大文Tへと進学して行った。その時に比べれば驚くほど今の生野高校は没落してしまったのである。オレはその事実を悲しく受け止めるしかないのである。これもすべて橋下徹のせいである。あいつが生野高校の教育をぶち壊した張本人だとオレは思ってる。橋下徹だけは断じて許せないのである。だから維新の会も大嫌いである。そういうわけでオレは大阪市廃止にも反対だし、都構想なんかくそくらえと思ってるのである。そんなものはおまえのただの逆恨みじゃないかと言われそうである。人間の行動原理はそんなくだらないことから決まるのである。

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11月19日(木)
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