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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■小池新党はどこに向かうのか?



 安倍首相が解散を明言したその当日、小池百合子都知事が新党で選挙を戦うことを宣言した。今なら相手の準備が整っていないから勝てると踏んだ安倍首相に対して、小池百合子は堂々と戦うことを選んだのである。東京都知事選挙でも最初は3番手の候補者と予想されていたが圧勝した。今回の総選挙で小池新党はそれこそ「単独過半数」を取るつもりで全力でなりふり構わず戦ってくるだろう。自民党にそれを受け止めるだけの闘志があるか?そもそも今回の解散自体が「森友・加計隠し」という後ろ向きのものだったわけである。選挙に勝つことで安倍晋三はこうした問題を終息させたかった。長州の人間のやることは150年経っても何も進歩していない。「勝てば官軍」としか思ってないのである。

 消費税増税か、凍結かという問題。原発を再稼働させるかゼロにするかという問題。この二つで両者はまっこうからぶつかることになる。労働者の実質賃金はずっと下がり続けた。安倍政権になってからは見かけの景気は回復してきたのに賃金はさらに下がり続けて、世代間格差が大きくなった。自民党政治のままでは何も変わらないし、利権はお友達の間で山分けだ。そうした不条理に対してノーと言いたい市民勢力を結集する形で浮動票を取り込めば小池新党は劇的な勝利を収める可能性がある。

 国民はサヨクの人たちに政権を渡したいわけじゃない。共産党や社民党の支持が増えないのは彼が明白に左翼勢力だからである。反権力を旗印にしたリベラル側の方々は政権批判の勢力として一定数はいた方がいいが、そこが権力を握ることまでは国民は望まない。そういう意味で、自民党に代わる保守政党という立ち位置で小池新党が出現したのである。

 小池氏は公明党代表の山口那津男を首班指名すると公言した。これは何を意味するのか。公明党に対して、自民党と別れて自分と組めということを促しているのである。もしも公明党がこの取引に応じたらどうなるか。自民党は歴史的な大敗を喫することになるだろうし、小池新党は衆院過半数をとれるだろう。選挙協力して公明党に50くらいの議席をくれてやればいいわけで、250議席くらい小池新党が獲得する可能性は十分にある。

 また小池氏が小泉純一郎元首相と面談したことも気になる。小泉ジュニアを自民党から引き抜いて小池新党の中枢に据えれば、それだけで自民票の半分をもぎとれることになる。小泉ジュニアの引き抜きは自民党という大政党に対して壊滅的な打撃を与えることになるのは間違いない。

 小泉純一郎氏はかねてから反原発の立場を明確にされていた。もしも今原発に関して国民投票を実施すればたぶん全面的に廃止という側が勝つだろう。原発という仕組みにへばりついてるのはその利権が欲しい連中だけである。もはや原発が「オワコン」であることは明らかで、ヨーロッパもアメリカも撤退していてこれから作ろうとしてるのはインドや中国といった環境後進国だけである。日本のような地震国で原発から撤退した方がいいことは明らかだ。福島原発のような事故が起きた場合にどれだけ国益が損なわれたかを国民は十分に理解している。それでも原発を新設したいという主張をごり押しすれば、国民の支持は絶対に得られない。民進党は電力関係の労組の票を意識するあまり積極的に反原発という立ち位置はとれなかった。小池氏にはそうしたしがらみは全くないのである。

 民進党ははっきり言って無能者のあつまりだ。政権の座から落ちたのは人材がいなかったからだし、今さらそこにしがみついていても何のいいこともない。山尾議員のスキャンダルとかでもはやその威信は地に落ちてしまった。もはやこの党は滅亡するしかないのである。だから今、多くの議員が沈没船から脱出して小池新党に乗り移ろうとしてるのである。政界という大海原を渡っていくのに、民進党という難破船ではなくて小池新党に希望を見いだしているのである。

 安倍晋三は消極的な理由で解散総選挙を行おうとした。しかし小池百合子はそれを積極的に利用しようと宣戦布告した。ここに両者の勝負師としての力量の差が現れているのである。逃げるために選挙を行おうとした安倍と、相手の戦略を利用して政権奪取を狙う小池と、両者の駆け引きはもう最初から勝負がついている。

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09月26日(火)
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