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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■アベノミクスの先には何があるのか?

 新聞の記事を読んでいて思うのは、どうして金融や経済関係の記事に的外れなものが目立つかと言うことである。たとえば昨年12月からこの1ヶ月ほどで少し円高になっている。1ドル105円台まで下がったのが、2月に入ると瞬間的に101円を切るところまで上がった。1ヶ月で4円近く円高方向に振れたわけだ。アメリカが金融緩和を縮小するということで、新興国の投資資金が引き上げられるという思惑からアルゼンチン・ペソやトルコ・リラが売られ、日本の株価もその余波で大きく下げているのである。そして今の円高を「安全資産への逃避」というふうに説明してるのだ。アホか。

 アメリカの緩和縮小の動きと、日銀の積極的な金融緩和政策、そして原発が再稼働できないことから来る慢性的な貿易赤字、将来のアメリカからのシェールガス輸入拡大という流れを考えた時、円がドルに対して強くなることなど考えられないし、これから無制限に緩和拡大してインフレをわざと起こそうとしている通貨が「安全資産」であるわけがないのだ。それならなぜ円高ドル安になるのか。それは「円を売りポジションで持っていてすでに利が乗ってる人がいったん利益確定してポジションを減らしている」だけなのである。

 手元に1億ドルくらいの資金があればどういうことをすればいいのか。参加者の少ない時間帯に日経平均先物を売り崩す。大きく値が下がる。日本の株価が下がれば円高ドル安になる。円高に振れるとさらに株価が下がる。株価が下がればさらに円高になる。1ドル105円台半ばから101円割れへの動きはこれで説明できる。それぞれの個別の動きがすべて連動しているから短時間で値幅を取って利益を上げることができる。

 株も為替も一本調子に上がったり下がったりするだけでは参加者は利益を出しにくい。大きく上げ下げするからそれをうまく利用して儲けることができるのだ。同時にそれは相場の目を読めなかった参加者が大きな損失を出すと言うことでもある。ビッグマネーを動かせる者たちがマネーゲームをしてそこからゼニをぶんどる「強欲資本主義」が現在の世界の経済を支配してるのである。アベノミクスによって株価が上昇したのではなく、アベノミクスを利用して巨利を得た者たちがいて、その思惑で日本株が上昇させられたにすぎないのである。

 為替がこの一年で円安方向に大きく動いた結果何が起きるのかは誰でも予想がつく。、トヨタ自動車が2兆円をこえる利益を稼ぎ出し、パナソニックも黒字、シャープも黒字転換というニュースがいつ発表されるかは予定されている。だとすれば、そのニュースが出るまでとことん日本株を売り崩せば今度はそこからの上昇が期待できるし、今度は買いで入って利益を出すことができる。たとえばトヨタ自動車の株価は昨年12月30日の終値が6420円だったわけだが、それかた約一ヶ月の間に2割近く値下がりして、2月4日の終値は5500円、そこでトヨタ自動車の2014年3月期の連結営業利益が前期比81.7%増の2兆4000億円になる見通しが発表されたのである。リーマンショック前に記録した最高益2兆2703億円を6年ぶりに更新するという。もちろんこのニュースに反応して、翌日の株価は5830円(+330)と大きく値上がりした。

 世界を振り回す強欲資本主義の論理は、すべての企業を「ただの金儲けの道具」としてしか見ていない。世界中の企業が同じモノサシではかられ、道具として利用されてしまうのが「グローバル化」というヤツである。それを無条件に信奉している人たちもいるから始末が悪い。日本だけが独自の価値観を持つ国家であるということは許されず、それを理由に世界中から攻撃を受けてしまうのである。

 新興国で株や為替の暴落が起きたのはなぜか。アメリカの緩和縮小によってそこからゼニが引き上げられたからではなく、「緩和縮小」とい材料を使ってそこにビッグマネーで売りが仕掛けられたからである。だからトルコがあわてて利上げを行ったりして通貨を防衛しようとしたわけだが、一国の経済が一人の投資家によって操作されてしまうのはかつてジョージ・ソロスが英ポンドを売り崩して巨利を得たことからすでに立証されている。


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02月06日(木)
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