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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■『風の谷のナウシカ』はフィクションではない
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『風の谷のナウシカ』は、高度に発達した文明を持った人類が「火の7日間」と呼ばれる最終戦争(おそらくは核戦争)の後に滅亡してしまった1000年後の物語である。わずかに生き残った人たちは、どんどん拡大する「腐海」(放射能汚染地域のようなものか?)にその生活を脅かされながら暮らしている。この物語は決して単なるフィクションではない。今世界中にある多くの原発が大きな地殻変動や巨大隕石の衝突によって壊滅すれば、地球は同様の世界になってしまうとオレは想像するのだ。
毎日大量の地下水が新規に流入し、新たな汚染水が発生してそれが海にも流れ込んでいた福島原発。地下水の流入を食い止めようとして遮水壁を作ったり、凍土を人工的に作ることで流れを遮断して新規に汚染水の発生を防ごうとしてるわけだが、メルトダウンした炉心から放射性物質はこれからも永久に発生し続けるわけで何一つ解決にはなっていない。福島原発はもはや我々人類の手ではどうにもならない状況に陥っているのである。
汚染水をどうしたらいいのか。オレは映画『風の谷のナウシカ』の中の「腐海」を想像する。そこは放射性物質に汚染された世界である。しかし、腐海の地下には汚染されていない水があった。腐海は実は放射性物質を浄化していたのである。
もうタンクを増設してそこに汚染水を入れるのは限界だ。福島原発の西側に巨大な池を建設して、そこに汚染水を貯留するしかないとオレは思うのである。それ以外にどうやって今後永久に増加し続ける汚染水対策があるというのか。海に流さないのならばそれを池に貯めるしかないじゃないか。ナウシカの世界の「腐海」が現実のものとなるのだ。
もちろん現実に放射性物質汚染水の「腐海」を作ってしまったら、世界から非難を浴びるだろう。しかし、他にどういう解決があるというのか。
この「腐海」の周辺に大量の木を植えて深い森にすれば、多くの昆虫や野生動物が棲息するだろう。もちろん池には魚や水生昆虫も住み着くだろう。するとどういうことが起きるのか。その昆虫は当然他の地域にも移動するだろうし、放射性物質を体内に取り込むことでなんらかの遺伝的異常が起きれば、それは交配を通じて日本中に広がっていく。しかし、今そういうことが全く発生していないと言えるのだろうか。
福島原発周辺には大量の野ねずみが棲息していて、それが停電トラブルにつながったことがあった。ネズミ以外にも多くの動物がいるはずである。周辺地域から人間がいなくなっても、遺棄された動物たちはそこで新たな生態系を築くだけのことである。
海に流出した汚染水はおそらく将来にはなんらかの影響を地球環境や生態系に対してもたらすだろう。そのときに日本政府は世界に対してこの責任をどうやって取れるのだろうか。海はつながっているのである。汚染水はそのまま黒潮に乗ってアメリカへと流れ着く。津波で流されたがれきやハーレーと同じように、汚染水もアメリカにやってくるのである。もしかしたら今頃北米では海水のトリチウム濃度が変化してるかも知れない。もしもなんらかの変化があればそれはまぎれもなく福島原発の影響である。
日本海側に巨大地震が起きて30mの津波が来れば、若狭湾にある関西電力の原発群は壊滅するだろう。もちろん「そんな地震は来ない」とみんなたかをくくってるわけだが、100%来ないという保証はない。
我々の利用しているこの原子力発電所というシステムは、そこに巨大隕石が落下するとか超巨大地震が起きるとかいう形での破壊を想定していない。もしもそうなったときに「運が悪かった」とあきらめて日本人はみんな犠牲になるつもりなのか。事故が起きた時に手が付けられないものをどうして作ってしまったのか。
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08月10日(土)
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