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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■ハメこまれた人たち19 (全日空)
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ジョイントコーポの破綻劇について

 株式投資なんてクソみたいにつまらないと最近思うようになった。どうしてつまらないかというと、イカサマが横行している上に自動売買を使ったシステム取引の割合が多くを占めるようになって、過去の「板読み」と呼ばれる手法が全く通用しなくなってきているからである。日本株がこれほど割安な状況で放置されている背景には、オレと同じように考えていて株式投資を馬鹿馬鹿しく思っている個人投資家が多いからなんだろう。

 最近、証券会社による増資インサイダーが次々と報道され、3大証券すべてがこのイカサマに手を染めていることがあきらかになったわけだが、増資インサイダーではなく「増資」そのものが実は証券会社の大きなシノギであり、インサイダーでもなんでもなくそこでぼろ儲けすることはルール上認められているのだ。さすがにMSCB(転換価格修正条項付転換社債)の発行なんてひどいことをやる会社は最近は聞かないが、いかなる増資も既存の株主へ大きなダメージを与えるものであることに変わりはない。

 全日空の発行株数は約25億株である。3月12日には株価は263円あったわけで、その時の時価総額は概算で25億×263円=6575億円ということになる。その後日本株全体が値下がりしたこともあって時価総額は徐々に下げたわけだが、7月3日に株価は急落して224→193円となり、7月4日時点(株価195円)での時価総額は約4924億円となっている。一日に31円も値下がりしたわけで、775億円分の価値が失われたのと同じことである。

 なぜこのようなことが起きたのかというと、全日空が10億株の増資を行って約2000億円のゼニを市場で調達することを発表したからである。この増資のニュースを最初に報道したのはNHKだった。7月3日の昼にNHKがこのことを報道し、それを受けて全日空の株価は後場から急落して終値では結局−31円という大幅な下げになったのである。

 「増資」と呼ばれるこの仕組みはその名称からまるで資本が増えるよいことのように個人投資家に勘違いされるのだが、実際は企業の価値や信頼を著しく下げる行為である。その企業が平気で株主を裏切るクソみたいに信用ならない企業であると天下に喧伝するようなものだからだ。かつて倒産直前の日本航空がなりふり構わぬ増資を行っていたことを思い出す。

 公的資金で救済された日本航空と違って、全日空は自前の資金で新しい機材を調達しないといけないわけで、通常はそれを銀行からの借入金や社債でまかなうところだがその場合は返済しないといけない。ところが増資という手法を用いれば今の株主からゼニを巻き上げて資金調達できるのである。

 増資をすると100%その企業の株価は値下がりする。それがわかっていれば先に空売りしておいて、値下がりしてから買い戻せば確実に儲かる。増資するというインサイダー情報を得ることができれば、その企業の株を空売りしておけばいいわけで、最近摘発された増資インサイダー事件というのはそれを個人レベルでやったものである。

 しかし、同じインサイダー取引も個人ではなくて証券会社が大規模にやることは全くの合法なのである。それは証券会社のシノギとして認められたことだからだ。株主を大事にするまともな会社はそんなことをしないのだが、世の大企業の多くは個人株主なんかゴミとしか思ってない。

 NHKが昼に増資のニュースを出した時、すぐに全日空は「現時点では決定していません」というIRを出した。しかし夕方4時になってから「新株式発行並びに株式売り出しについてのお知らせ」というIRを出したのである。3時間ほどの間に急に決まったのである。思わず「あほか!」と叫びたくなるようなできごとである。そんなことが3時間で決まるわけがなく、少なくとも2週間前には決定していないといけないのである。以下に引用して示すのがその増資を伝える発表である。

ANA、公募増資9億1400万株、オーバーアロットメントによる売り出し8600万株実施へ

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07月05日(木)
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