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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■映画、夫婦50割引の謎
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オレは50歳になった。おかげで今年から映画を見るときに「夫婦50割引」というヤツが利用できることになったわけだが、この仕組みを利用するに当たってオレにはいくつも疑問に思うことがあるのだ。
まず、チケット購入時の確認がとても雑である。極端な場合、年齢確認をしないで買えてしまうのである。最初にオレはこの割引を利用するときにきちっと免許証を提示した。するとカウンターの中の人は「そんなもん確かめなくてもおまえはジジイとわかってる!」という表情をしたのだ。オレの風貌を見て、窓口の係員が「こんなオッサンが50歳以下なんてありえないよね」と思うとするなら、なんて失礼なことだろうか。オレの外見はもっと若いはずである。35歳だと主張しても疑われないくらいオレは自分の外見が若いと思っている。それなのになんの疑いも持たれずに夫婦50割引でチケットを買えてしまうならばそれは客に対して失礼じゃないのか。そこで疑わないことこそ失礼であると思うのである。
次にチケットを使っての入場時にチェックがないことだ。チケットには「夫婦50割引」と印刷されているわけだが、だったら入場時に二人一緒に入ることで「オレたち夫婦だぜ」と確認してもらえばいいのである。しかし、二人が時間差で別々に入っても全く係員は疑わないのだ。
割引制度にこのような欠陥があるとどういうことになるか。まずチケット購入だ。インターネット上でもカード決済な映画館なら購入時の確認は不可能になる。何のチェックもなくオレは夫婦50割引のチケットを入手できてしまうのである。
そのチケットは「夫婦」で行使しないといけない。しかし、行使するときにチェックがない。もしもオレがそのチケットを大学生の姪と一緒に使えばどうだろうか。年齢に差がある夫婦はいくらでもいるわけだ。二人が夫婦であるということを証明するものの携帯は義務づけられていない。仮に入り口で「あなたがた本当に夫婦ですか?」と客に質問するとすればそれはあまりにも失礼な行為である。そこで「夫婦なんだ、文句あるか!」と答えたとしよう。そこで「だったら証拠を見せて下さい」と言われれば、住民票の写しなんかを提示すればいいのか。そんなもの普通は携帯しないし、そもそも「住民票の写しを提示」するというルールを決めたとしても、事実婚の場合はどうするのか。その二人が夫婦であることの証明をさせるために公衆の面前で接吻でもさせるのか。それは公然わいせつである。
夫婦50割引でチケットを購入したカップルが、入り口でのチェック時に別々に入っても咎められることはない。混雑時に別々に入るならばさらにチェックは困難だろう。もしもこのチケットの使用者がカップルではなくて男2人とか女2人ならばどうなるのか。同時に入場する必要がないのならば、男同士や女同士でこのチケットが利用できてしまうのである。また仮にその同性の二人が同時に入場したとしよう。そのときに二人がセクシャルマイノリティであることを主張したとすればどうか。その可能性がある以上、男同士や女同士のカップルに対して「あんたたちは夫婦じゃない!」と指摘することはできないのである。
またこういうことも考えられる。映画館の入り口で女性一人や男性一人の客をナンパすることで、即席カップルになって入場するという可能性である。仮にオレが映画を一人で見に行くとして、そのまま一人分の料金を支払えば1700円だが、女性一人の客をナンパして「ぼくたち、夫婦ということにしませんか?」と持ちかければお互い1000円で映画を鑑賞できるわけだから双方に利益がある。だからナンパされた女性の側にしてみても「映画を安く見られる」上にオレのような紳士と一緒に映画を見ることができるわけである。きっと拒否などしないだろう。
それだけ欠陥のある制度でありながらこの仕組みを多くの映画館が採用しているのはなぜだろうか。一人でも多くの客が入るのならばそれでよしという考え方に立っているからではないだろうか。それならいっそのこと入場料を値下げすればいいと思うのだが、そうなると配給側が怒るのだろう。
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06月07日(火)
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