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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■下請けいじめは大企業の本質である
ブログランキングの投票いつもありがとうございます。1位が目標ですのでよろしくお願いします。 投資に興味がある方はぜひ毎朝、江草の世界戦略室をごらんになってください。
この2008年3月期、過去最高の業績を上げた日本企業が多数存在する。しかし、その好業績は実は下請け企業へのコストダウンの一方的な要請の結果もたらされているということも忘れてはならない。日本の企業の収益体質には大きな偏りがある。大企業が儲かってる一方で、日本の企業の大多数を占める中小企業はいつも青息吐息なのである。GMを抜いて世界一の自動車メーカーとして君臨しようとしているトヨタ自動車の反映の陰には、カイゼンの名の下にコストダウンを一方的に押しつけられる無数の下請け企業がある。以下は中日新聞の記事の引用である。トヨタのお膝元である名古屋で、御用記事や提灯記事を書けばそれで広告がもらえて安泰のはずの中日新聞にこの記事を書かせたほど、今のトヨタのやり方は理不尽ということなのだろうか。
希望見えぬ「世界一」 トヨタの足元<1>2008年5月11日
「どうして、うちの主人がクビになるんですか」
一家の大黒柱の危機を知り、怒鳴り込んできたのはその妻と娘だった。
名古屋市近郊にある古びた工場。床がきしむ事務室で、社長は“鬼”を演じるしかなかった。「情に流されたら会社はやっていけない」。自身もまた、追い詰められていた。
まだ昭和だったころ、亡くなった父親の後を若くして継いだ。
星くずほどもある「トヨタ系」企業の1つ。100人に満たない従業員には、子どものころから顔見知りの工員も多い。「みんな家族みたいに感じていた」。従業員たちを守り抜こうと思ってきた。
状況が変わったのは2000年。その夏、「国際競争力ナンバーワン」を目指すトヨタのコスト削減大作戦「CCC21」が始まり、3割削減という非情な「お願い」が、末端の下請けまで駆け降りてきた。
「できなきゃ仕事が切られるかもしれない。実態は強制ですよ。達成するしかなかった」と社長は言う。
3割という過酷な削減に“聖域”はあり得ない。
その年から、ざっと2割の従業員に辞めてもらった。穴埋めの人手に外国人を充て、人件費を抑えた。
妻子が乗り込んできたのは定年間際だった番頭格の社員。職人肌で、外国人の採用に「言葉も分からないのに仕事を教えようがない」と頑固一徹に反対した。品質とコストを考えたぎりぎりの選択を受け入れない彼に、最後は「辞めてくれ」と言うしかなかった。
彼はもちろん、妻も娘も会社を「家族」だと感じていたのだろう。
「だから乗り込んでもきた。でも、もう家族感覚じゃ経営は成り立たない。会社を存続できるかどうか、が迫られた」
1999年当時、日経連(現日本経団連)会長だったトヨタの奥田碩(ひろし)相談役は「従業員をクビにする経営者は自ら腹を切れ」と言い、安易なリストラを戒めている。
事実、トヨタは戦後の一時期を除き、リストラを1度もしないまま、営業利益が2年連続で2兆円を超え、「勝ち組」の代表になった。
ただ、その下請けの社長は「トヨタは足元が見えているのか」と思う。「2兆円」も「安定雇用」も、無数にある町工場の犠牲がその土台にある。「腹を切れ」は安住の地にいるトップのそらごとに聞こえるのだ。
利益を吸い尽くされた末端の町工場に、投資に回す余力はない。次代を考えても「まったく希望が見えないんですよ」。生活を切り詰めても、生命保険料の支払いだけは欠かしたことがないという。
「もしもの時には、そのカネで会社を清算してほしいと思う」
社長は真顔だった。
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05月17日(土)
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