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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■ドラゴン桜DSで東大合格だ!
オレは梅田に出る用事があってJR大阪環状線に乗っていた。地下鉄でも出られるのだが、オレは地上の方が好きである。またJRの場合は乗車券をクレジットカードで購入できるが、地下鉄は現金で買わないといけない。そういうこともあって大阪市内で天王寺から梅田などの移動の必要が生じたときにオレは地下鉄よりもJRを使うことの方が多い。そういうわけでオレは大阪環状線のやたらクッションの悪い古そうな車両に乗っていたのだが、中吊り広告を見て驚いた。その一両の広告すべてが任天堂DSのゲーム、ドラゴン桜DSの宣伝だったからである。
いくら受験生が大量に乗っていて、人々の関心が高い時期だからといってもこれはさすがにやりすぎだろう。その広告の文言も「ゲームをしながら東大に行こう」などのふざけた内容で全く真面目な受験生を馬鹿にしているとしか思えないのでオレは多少不愉快な気分になったのである。もちろんオレはモーニングでこのドラゴン桜というマンガを愛読してるし、その中で書かれてる受験テクニックの多くはそれなりに説得力のあるものだと思って好感を持っている。しかし、このゲームの宣伝はやりすぎだろうと思う。
このドラゴン桜DSというゲームには国語・算数・理科・社会の4教科・12カリキュラムが収録されていて、問題は小学生にも解ける内容なので家族みんなで東大脳を鍛えられるという触れ込みである。また、登場するライバルキャラと学力を競い合うことで、達成感や向上心が刺激され、遊び続けると新しいゲームやアバターアイテムが追加されるので、日々のトレーニングが楽しみになるという。通信機能を使えば、最大4人の友達と同時対戦プレイが行えるということだ。うーん、説明を読んでるとなんだかものすごくすばらしいものに思えて来るではないか。
もしもこのゲームにそれだけの効果が存在するなら、全国の小学生の子供を持つ親たちは争って買い求めるだろうし、そのゲーム内容が「学習」ということなら子どもたちもまた「これはお勉強だから」という免罪符を得て長時間遊べることになる。そして急速に普及した任天堂DSの新たな役目を果たすことになるわけだ。実際にソフマップのゲームソフトのコーナーには「お勉強系」のゲームソフトがやたら多かったのである。財団法人 日本漢字能力検定協会 公認 漢検DSとかDS陰山メソッド 電脳反復 正しい漢字かきとりくんとか、いつからみんなこんなに勉強好きになったのかと驚いてしまうほどである。
オレはこのドラゴン桜DSというゲームソフトが売れることで世の中に勉強好きの子供が増えるとは思っていない。そのゲームの公式サイトに行ってみて、問題のデモンストレーション画面を体験したが、たとえば理科の星座の問題などはオレが昔星座オタクだったから全問正解できるだけであり、今の教養のないクソガキどもにとってはかなり難易度が高いと思われる。小学校の内容といっても決して侮れないのである。
だからこのゲームをやったからと言って子どもの学力が向上すると安易に期待している親たちが居るとすればオレは警鐘を鳴らしたい。つまりゲームをプレイするということはその画面の指示に従っているだけであり、学習の中で大切な「自分から積極的に学ぶべき対象を選び取り、考えながら長期記憶を増やす」ということにはなかなかつながらないからである。反復学習は出来ても、それはただ単に訓練の延長線上でしかなく、高度な思考力や分析力を必要とするところに到達するツールとしての役目を持たせるのは酷だろうということだ。
勉強には攻め(攻撃)の勉強と受け(防御)の勉強がある。出された宿題をこなすだけの勉強はすなわち「受け」であり、逆に明日やる予定のことを予習段階で全部理解しておこうとがんばるのが「攻め」である。今の子どもたちの学習の中で決定的に欠けているのがこの「攻め」の部分であり、それを補うにはこんなゲームごときでは無理なのだ。興味をもった分野のことをどんどん知ろうとしてたくさんの本を読んだり、覚えた公式を試したくてどんどん自分から練習問題を解いてみるのも「攻め」の姿勢である。そして考えながら覚えることで記憶はどんどん定着していく。
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03月19日(月)
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