ID:41506
江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■ハメこまれた人たち・6
 ハメこまれた人たち1〜5は、初心者のための投資入門のページからそれぞれリンクしています。興味を持たれましたらそのリンク経由でお読み下さい。お勧めリンクに「僕と株と樹海の日々」を追加しました。ぜひご利用ください。



 会社四季報で住友石炭(1503)を調べると、2005年4−12月期の利益が17億円の赤字、2006年3月の予想が12億円の赤字となっていて、かなり苦しい状況にあることがわかる。もちろん配当は出せていないし、再建途上にある状況である。株価も低迷していて2ケタだった時期も長かった。この万年低位株も、なぜか昨年暮れの株高の中で上昇し、ウソみたいだが瞬間的に株価は300円を超えたこともあったのである。しかし、日経平均がジリジリと下げる中、当然この住友石炭の株価も急落(←クリックするとチャートが見られます。)した。しかし、ここが大きく値を下げる要因はそれだけではなかったのだ。

 5月25日、住友石炭の取締役会が開かれ、そこで第三者割り当てによる新株予約権の発行が発表された。この新株予約券発行の目的は、過去に発行した優先株を償却するためであった。平成14年9月、住友石炭は取引先の三井住友銀行などから金融支援を受けた。その時に発行された優先株のすべてが平成18年5月25日現在での転換価額(60円)で転換されると2億5000万株となる。住友石炭の発行株式総数は1億7400万株だからいきなり株数が2.4倍になってしまうのである。これを回避するためには償却用の原資を用意しないといけない。その資金を得るために住友石炭の取締役会は、ゴールドマンサックス証券を割当先として新株予約権発行という方法をとったのである。それによって得られる調達資金は150億円である。転換価格が100円とすれば1億5000万株、転換価格が200円とすれば7500万株の新株が発行されることとなる。

 割り当てを受けるゴールドマンサックス証券としては、時価と比較してできるだけ転換価格を低く抑えることができれば売却による利益が発生するのだが、この新株発行で住友石炭という会社の価値が150億円分増えることではないのである。会社の価値が変わらない以上、単純に考えれば現在の時価総額約400億円のうち、150億円分が会社に吸収され、残り250億円分が残った株の価値、つまり今の株主の持っている株の価値が62.5%にされてしまうということなのだ。住友石炭が150億受け取るだけではゴールドマンサックス証券には利益が発生しない。つまり、400億円という時価総額の中から、150億を会社が分捕り、ゴールドマンサックス証券が手数料分(たぶん50億くらいだろうか)をせしめ、残りが株主に残されるということが予想される。株の価値は半分くらいにされてしまうのである。

 新株予約権や、新株予約権付き転換社債の発行というのは、既存株主を犠牲にして会社が資金を手に入れる悪魔の方法である。5月25日の株価(終値)は191円だった。この金額は後に重要な意味を持ってくる。なぜ191円が重要なのか。おそらくその価格に何らかの意味を持たせる密約が存在したのだろうとオレは勘ぐっている。一週間後の6月2日には住友石炭は瞬間的に安値135円をつけた。わずか1週間で約30%値下がりしたのである。日経平均がどんどん下げていくという地合いの悪さもあっただろう。しかし、この新株予約権発行が嫌気されたのは間違いない。住友石炭を保有する個人投資家たちにとってはまさに裏切られたような思いだっただろう。しかし、物語はそこから弟二幕を迎えたのである。


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06月14日(水)
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