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江草 乗の言いたい放題
by 江草 乗
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■ライブドアで破産した男
この話はフィクションです。ライブドア・ダイナシティ株ホルダーのみなさん、実際にはこんな悲劇が起きないことを祈っております。早く事態が収束するといいですね。このお話は株取引の恐ろしさに警鐘を鳴らす意味で書いてみました。
退職金を効率よく資産運用して増やそうと株取引をはじめた一人の熟年男が居た。とりあえずその名を美路似巣夫(びろ・にすお)(株で大きな損をした人のことをビロニストと呼ぶ)としておこう。さて、美路氏は2005年夏頃から住友金属やソフトバンクに投資して当初の200万円からスタートした資金を順調に700万円まで増やしたのである。このままでは夢の1000万円台も夢ではないと期待したビロちゃんは、セシールやダイナシティを傘下に収めて急成長中のライブドアの堀江社長がぐるぐる回っているライブドアオートのCMを見て、「ソフトバンクで稼いだお金で次に買うのはライブドア本体だ!」となぜかひらめいたのである。
1月10日、美路氏は投資資金のほとんどを投入してライブドア株を1万株、670円で購入した。670万円である。翌11日にはすぐに値上がりして700円を越えた。このまま1000円まで値上がりすればすぐに投資資金は1000万円に到達である。その頃美路氏はライブドア傘下のダイナシティという銘柄がある投資顧問のHPで強く推奨されていたことを知った。そのHPでは毎晩テレホンサービスで明日の推奨銘柄を聴くことが出来るのである。推奨銘柄は必ず翌日上昇した。またザラ場中にも銘柄情報をリアルタイムで流してくれるのだ。
ただ、新たにダイナシティ株を買おうと思ってもすでに手持ち資金をめいっぱい使ってライブドア株を買ってしまっている。それで美路氏は「信用取引」という手段を用いることにした。これはライブドア株を担保にして、証券会社からお金を借りてそのお金で他の銘柄を買うという方法である。
東証マザーズ上場のライブドア株の担保掛け目は70%になるので702円(ライブドア株の時価)×1万株×0.7=491.4万 これに残りの現金30万を加えた521.4万が保証金として使える金額ということになり、1738万円までの信用取引が可能になるのだ。それを利用して美路氏はダイナシティを1月13日に35000円で300株買ったのである。1050万円分である。ダイナシティは週明け16日には早くもストップ高をつけて瞬間的に42400円に上昇、信用取引の含み益は三日で早くも222万になった。果たしてビロちゃんが自分を襲うその後の悲劇をどうして予測できただろうか。
1月16日夕刻、ライブドア社に証券取引法違反の強制捜査が入るという報道があった。その大ニュースも知らずに美路氏は3日で200万儲かったことで有頂天になって同僚と酒を飲んでいたのである。
1月17日の取引開始後、ライブドア株は売り注文2億6000万株に対して買い注文80万で取引が成立せずにストップ安(694円→594円)となった。美路氏の持ち株は一日で100万円分値下がりしたのである。しかし、悲劇はそれだけではなかった。美路氏が信用取引で買っていたダイナシティ株もまた終値36600円(−4400円)のストップ安だった。まだ美路氏の買値はかろうじて上回ってるが、一日で含み益が132万円も減ったのである。この調子で下げ続ければどこまで下げるかわからない。そんな美路氏を襲ったのはネット取引の画面に赤い文字で表示された 【重要】ライブドア株式等の代用有価証券の掛目の引き下げについて というお知らせだった。
そこには、ライブドア関連銘柄の担保掛け目が70%→0%に変更ということが書かれていた。なんと、自分が担保にして信用取引しているライブドア株の担保価値がゼロにされてしまったのだ。そうすると今すぐにダイナシティ株の信用取引の保証金として必要な315万円のうち、預かり金として残っていた現金30万円を除いた285万円を追加保証金として自分の証券口座に差し入れないといけないのである。美路氏はあわてて退職金の残りを預金から引き出してその資金を調達したのだった。この悪夢が一日で済むことを願って。
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01月18日(水)
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